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Faculty of Foreign Studiesゲーテ『若きウェルテルの悩み』と書籍業者

キーワード ドイツ文学,ゲーテ,出版
講師 長谷川 弘子

ドイツの文学者ゲーテは、1774年に書簡体小説『若きウェルテルの悩み』を出しました。25歳の年のことです。当時のゲーテはまだ駆け出しの作家であり、とくに故郷の町フランクフルトの書籍業者たちにとっては、ゲーテはわけのわからないことを書いている「お金持ちのおぼっちゃん」という印象の若者でした。けたはずれの文学的才能をもっていたゲーテにとっても、当時は自分の本を出してくれる本屋をみつけるのは困難なことだったのです。しかし、『若きウェルテルの悩み』は、出版されるとたちまち大ベストセラーとなり、さまざまなことばに翻訳されました。のちにナポレオンもエジプト遠征のさいに夢中になって読んだとされています。ではゲーテは、『若きウェルテルの悩み』でいくらくらいの印税を手にいれることができたのでしょうか。文学というと固い話というイメージがありますが、ゲーテの本をてがかりに当時の出版事情を楽しく語りたいと思っています。