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最近、「国際語としての英語」、「世界の英語」といった表現をよく耳にするようになりました。どうして英語が世界中で重要な言葉となっているのでしょうか。また、「世界の英語」はこれまで一般的だったアメリカ英語やイギリス英語とはどう違うのでしょうか。とても気になります。ぜひ、学部長のお考えをお聞かせ下さい。

今、英語はアメリカやイギリス、カナダやオーストラリアといった国々だけなく、世界中の人々が意志疎通を行うためのツールとなっています。これは英語という言語が特別優れているという理由からではありません。歴史の決定的な時期に、英語を母語としていた人々、つまり、かつてのイギリスやアメリカの人々の科学力や経済力が突出していたということが理由です。実際、英語の影響力が高まる前はフランス語が、そしてその前はラテン語が共通語だったこともあります。ですから、英語を学ぶ際には、それを絶対視するのではなく、あくまで世界の様々な人とコミュニケーションをするための便利な道具として身に着けるという視点が必要です。

「世界の英語」というのはここ30年くらいの間に特に広まってきた考え方です。英語は現在では様々な国々で国際コミュニケーションのツールとして広く利用されています。そのような中、各地の言葉や文化に影響を受けたり、交じりあったりして、英語自体も発展を遂げました。例えばインドやパキスタンで話されている英語には、英米語では見られなかったような特徴が文法にも見られます。これらの特徴は決して「間違っている」わけでなく、それぞれの地域で話されている方言のようなものだと考えるのが「世界の英語」の考え方です。つまり、「唯一の英語=English」から「世界の様々な英語=World Englishes」、という考え方にシフトしてきたのです。今後、日本でも国際交流の機会が増えることが予想されますが、交流の相手が英米人ばかりとは限りません。日本の地理的状況を考えればアジアの人と英語で会話することも少なくないでしょう。逆にそういった場面で多様な英語に対応できてこそ、真に国際語としての英語を身に着けたと言うことができると思います。

私は自分の英語の発音を改善したいと思っているのですが、世界共通語としての英語を学ぶ場合、イギリスやアメリカの発音を目標としてはダメなのでしょうか。
それは全く問題ありません。自分で話す場合は何かをモデルにしない限り上達をしないので、これまで英米語を目指してきたのであれば、それを継続していいと思います。一方で、こちらがアメリカ英語を話したとしても、相手はどういうタイプの英語を話すかはわかりません。アクセントや発音が異なっても聞き取れるように、世界の様々なタイプの英語の特徴について、一通りは知っておくことが望ましいでしょう。
海外のノンネイティブの方と英語で話していると英語の巧さに驚かされることがあります。日本人はやはり英語が下手なのでしょうか。
日本語話者が英語の上達に苦労するのは、一つには日本語と英語がかなり異なる特徴を持つ言語だからですが、それ以外にも、日常生活で英語を使用せずとも全て事足りてしまうことが大きいと思います。徐々にそうも言っていられない時代になりつつありますが、まだまだ英語が使えなくても困らないケースはあります。だからこそ、逆に今、英語を使わざるを得ない状況に自分を追い込んで(留学を経験したり、大学の英語サロンを活用したりして)英語力を身に着けておけば、今後、大きなadvantageになると思います!