国際医療協力専攻では、世界諸地域に対する保健医療分野の国際協力に必要な幅広い知識と理論を習得することができる。医療系分野の方だけでなく、文系学部を含む広い分野からの人材を集め、基礎的技能の確立、理系出身者への文系科目履修指導(他専攻)など、一人ひとりの学生のバックグラウンドに応じた丁寧な指導を行っており、課程での教育と研究を修めることによって修士号(国際医療協力)が授与される。本専攻で学生は、広く深い知識と見識を得て、自立した研究能力の基盤を身に付けることができ、保健医療分野の国際協力に携わっときには、優れた能力を発揮することであろう。
国際保健医療協力は、きわめて実践的な学問であり、さまざまな分野の知識と経験が有機的に機能することが必要である。ある国あるいは地域の保健医療問題に対し、実際に国際協力を行う場合に考慮すべき事項の幾つかを挙げれば、次のようになる
この他にも数多くの国際協力すべき保健医療の課題があり、しかもそれらが独立した問題・課題としてあるのではなく、相互に関連しているため、保健医療の国際協力にはそれぞれが広い知識と見識を持つ多分野の人材が求められ、きわめて学際性が高い。
なお、国際医療協力は世界のあらゆる人々の基本的人権である健康の享受と、人々の生命・生活の安全と幸福に貢献する活動であり、その高い人道性から国際貢献としてもきわめて意義があり、また評価される対象でもある。国家的事業として、あるいは民間の活動として、最も力を入れるべき国際協力の分野である。
本専攻がきわめて学際性が高い分野であることに対応して、医学、看護学などの医療系関連の科目ばかりではなく、充実した人文社会系関連の科目も履修できる。医療系の分野をバックグラウンドに持つ大学院生や人文社会科学系の分野の勉強や社会経験をバックグラウンドに持つ大学院生がそれぞれの知識をさらに広め、深めるばかりでなく、他分野(医療系出身者であれば人文社会科学系、人文社会科学系の出身者であれば医療系)の科目をも無理なく履修するカリキュラム構成となっている。授業のほか演習や事例研究も充実しており、これらを履修していくうちにそれぞれの大学院生は自分の研究を進め、修士論文を完成することができる。
本専攻で学ぶ大学院生は、人文社会科学系の学部出身者、看護学などの医療系出身者、留学生など多様である。学部を卒業して進学してくる大学院生、社会で実務を経験してくる大学院生、国際保健医療協力の経験を積んでくる大学院生などさまざまである。本専攻はこのような多様な大学院生を受け入れ、優れた教育・研究指導をする体勢を整えている。