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消化器内科学教室

教室専任教員

教授 久松 理一 森 秀明
准教授 松浦 稔
講師 川村 直弘 土岐 真朗 三好 潤
助教 林田 真理 櫻庭 彰人 齋藤 大祐
  大野 亜希子 三浦 みき 渡邉 俊介

教室概要

消化器内科が対象とする臓器は上下部消化管、肝臓、胆道系、膵臓と最も多く、疾患もcommon diseaseから癌をはじめとする悪性腫瘍、炎症性腸疾患などの難治性慢性炎症性疾患など多岐にわたります。さらに消化管出血や総胆管結石など緊急対応を必要とする急性期疾患も多いのが特徴です。当科は、各分野に専門医を揃えレベルの高い診療を行うとともに、救急科とも連携し地域の基幹病院としての消化器領域の緊急対応に力を入れています。また腫瘍内科との連携を強化し癌に対する化学療法にも行っています。

研究グループ及び研究課題

消化器内科は、平成28年4月より教室責任者久松理一教授のもとで新体制が始まりました。より高いレベルの診療ニーズに応えるためには個々の力の向上が必須です。このため、これまでの蓄積を生かしつつより疾患ベースのグループに再編成いたしました。これまでの肝炎ウイルス・肝形態研究班と超音波班は肝疾患班に統合され森秀明教授の高度な技術レベルを有した非侵襲的超音波検査、川村講師による腹腔鏡検査、肝がんに対するラジオ波治療、自己免疫性肝炎や原発性胆汁性肝硬変などの難病治療など多彩な肝疾患に対応できる体制を整えました。また、入院患者の1/3を占める胆膵疾患に対応するべく胆膵班が独立しました。土岐学内講師を中心に西東京地区の拠点病院としてより一層の活躍が期待されます。また、ESDや静脈瘤硬化療法のニーズに応えるべく消化管治療班が独立しました。リーダーの大野助教は特に食道、胃、大腸のESD治療の経験が豊富で。すでに杏林大学附属病院は西東京におけるESDの拠点病院となっています。小腸大腸班は久松教授をリーダーとして西東京の炎症性腸疾患拠点病院として稼働しており近隣医療機関からの診断や治療に難渋する小児を含めた多くの炎症性腸疾患患者を引き受けています。現在、潰瘍性大腸炎570名、クローン病170名が通院しており、質の高い診療を維持するために炎症性腸疾患包括医療センター Interdisciplinary Center for Inflammatory Bowel Disease(ICIBD)の設立を目指しています。ヘリコバクター研究班は徳永准教授(総合医療学)が引き継ぎ二次・三次除菌のニーズに対応しています。このように、肝疾患班、胆膵班、消化管治療班、ヘリコバクター研究班、小腸大腸班の5グループが診療と研究に当たります。それぞれのグループから専門性の高い医師が排出され全国レベルで活躍し、それを地域に還元してくれることを目指しています。また、教育にも力を入れており研修医や若手医師の学会での症例発表を積極的にサポートするようにしています。消化器病学会や消化器内視鏡学会の地方会では必ず若手医師が貴重な症例報告を発表し、多くの先生が表彰されています。そして、その成果を必ず論文で発表する習慣をつけるよう指導しています。以下に5研究班の研究概要をお示しします。

肝疾患班

私たちは、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、脂肪性肝疾患、自己免疫性肝疾患、代謝性肝疾患や肝腫瘍などの各種肝疾患の患者さんの診療をさせていただいています。診断面では、森 秀明教授の指導のもと、腹部超音波検査による各種肝疾患の鑑別診断に力を入れております。超音波検査は非侵襲的な検査法で、慢性肝炎や肝硬変、脂肪性肝疾患などのびまん性肝疾患のスクリーニングのみならず、カラードプラや造影剤を用いて腫瘍の血流の特性から診断を行います。また、慢性肝疾患の肝線維化の進展度を推測するために超音波エラストグラフィを用いて肝硬度や脂肪化の測定を行い診断・治療への有用性を評価しています。さらに、超音波検査は肝疾患のみならず、胆道疾患・膵疾患・消化管疾患の診断にも有用で、当科の各専門班と連携して診断や治療にあたっております。加えて国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の平成31年度「臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究事業」として「超音波デジタル画像のナショナルデータベース構築と人工知能支援型超音波診断システム開発に関する研究」の参加施設としてデータを集積させていただいております。
一方、侵襲的な検査ではありますが腹腔鏡下肝生検を施行することで、特に自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎や脂肪性肝疾患の確定診断、病期診断を行い最適な治療を可能にしています。
治療面では、肝癌に対し超音波ガイド下に腫瘍生検による診断を行い、外科的治療が困難な肝癌に対しては、超音波ガイド下ラジオ波焼灼療法(RFA)、放射線科と連携して肝動脈化学塞栓療法(TACE)、さらに腫瘍内科と連携して肝癌に対する分子標的薬による治療など患者さんに応じた包括的な治療を行い成果を上げております。また、B型慢性肝疾患に対する核酸アナログ治療やC型慢性肝疾患に対するインターフェロンを使用しない直接型抗ウイルス薬による抗ウイルス治療を積極的に行い、肝硬変への進行や肝発癌抑制に貢献しています。さらに、慢性肝疾患に対する栄養治療学にも関心を持ち病態解明に務め、慢性肝不全の患者さんのQOLを維持・向上出来るよう、看護師・薬剤師・管理栄養士と協力し包括的なチーム医療を実施しています。

ヘリコバクター研究班

2013年2月よりピロリ菌感染胃炎が保険適用として追加され、実地医科で広く除菌療法が行なわれていますが、除菌難渋例や薬剤アレルギーで除菌が出来ない症例も存在します。当科では古くからピロリ除菌の専門施設として三次除菌以降、さらにペニシリンを用いない除菌についての治療を行い、日本トップクラスの好成績を得ています。そのため多摩地区のみならず、広範囲の施設より除菌治療の紹介をお受けし、多くの患者様に喜んで頂いております。さらにピロリ菌以外の細菌が関与すると考えられる胃MALTリンパ腫や胃潰瘍の解明、および治療を行っています。胃癌撲滅および個々の患者様の満足度向上のために最新・最善な医療を行っています。

小腸大腸班

2015年4月より久松理一教授が着任し、難病である炎症性腸疾患の拠点病院としてすでに稼働を始めています。炎症性腸疾患専門外来を開設するとともに患者データベースの作成に着手しました。現在、小児を含めた患者数は潰瘍性大腸炎570名、クローン病170名が通院しています。外科大腸班との協力体制も充実させるために下部消化管外科内科合同カンファレンスが行われています。今後、さらに質の高い診療、チーム医療を目指して炎症性腸疾患包括医療センター Interdisciplinary Center for Inflammatory Bowel Disease(ICIBD)の設立を目指しています。
杏林大学医学部消化器内科では早くからカプセル内視鏡やダブルバルーン小腸内視鏡を導入してきた歴史があり、近隣からの検査依頼も増加しています。これまで観察することのできなかった小腸疾患の病態解明と治療にも力を入れています。また患者様への侵襲を減らす検査方法としてMRIや腹部超音波検査を用いた腸管観察法の確立を目指して研究を進めています。炎症性腸疾患に対する治療では実地医家で治療に難渋する症例に対して生物学的製剤、JAK阻害剤、プログラフ、顆粒球吸着療法・白血球除去療法など最新の治療法を提供しています。さらに新薬の国際共同治験や医師主導型の臨床試験などに積極的に参加し最新の治療を提供していくとともに新たなエビデンスの構築に力を注いでいきます。

消化管治療内視鏡班

消化管治療内視鏡班は、上部および下部消化管領域の主に腫瘍に対する内視鏡診断と治療を行っています。上部消化管内視鏡検査では通常光での観察に加え、特殊光(主にNBI)での観察によって、早期食道癌、早期胃癌、十二指腸腫瘍などの腫瘍性病変の内視鏡診断を行い、内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などの患者様へ負担の少ない治療を行っています。また2014年1月より大腸腫瘍に対するESDを導入し、さらに件数が増加傾向にあり、本年は年間150例を超えるペースでその実績を伸ばし続けております。
また、上部消化管出血に対する止血術、内視鏡的食道静脈瘤結紮術・硬化療法、異物除去術、食道や幽門部、十二指腸狭窄に対するバルーン拡張術やステント留置術なども行っています。特に止血術や異物除去術等の緊急内視鏡検査は、年間の内視鏡検査の約1割を占めており、地域の基幹病院としての役割を果たすべく、24時間体制で積極的に対応しています。また、さらに安全で高いレベルの内視鏡診断および治療を患者様に提供すべく、日々臨床データの集積を行うとともに、海外学会を含めた報告も積極的に行っています。

胆膵班

主に胆膵疾患の診断と治療を中心に行っているグループです。対象疾患は多岐にわたり、良性のみならず悪性疾患も多く、臨床経過 、身体所見、血液学的検査、レントゲン、腹部超音波検査、CT PET-CT MRI 内視鏡的逆行性膵胆管造影検査(ERCP 超音波内視鏡検査など多くの検査から様々な情報を得て診断していきます。緊急ERCPや経皮胆管ドレナージ・胆嚢ドレナージ術など緊急処置も非常に多く、地域の基幹病院として24時間体制で対応しています。また、院内の胆膵グループ(消化器内科、肝・胆・膵外科、腫瘍内科、放射線科、病理学教室)の一員として、常に他科とも連携をとり、診断から治療に従事しています。当院でのがんセンタ-の発足後は担癌患者さんが非常に増え、中でも膵臓がんや胆道がんは非常に増加しています。悪性胆道狭窄に対するステント留置術、超音波内視鏡を用いた検査や確定診断のための穿刺生検(EUS-FNA 膵嚢胞ドレナージ術なども行っています。ERCPやEUSの件数は増加傾向で、ますます需要が増えていくと考えられます。また、小腸大腸班と連携し小腸鏡を用いた胆道ドレナージや結石除去術を行うなど胃切除後の症例など特殊なケースにも対応しています。
消化器腫瘍カンファレンスや胆膵疾患カンファレンスも定期的に開催し、治療方針の検討や情報のアップデートさらにスキルアップを目指しています。院内のみならず、他施設との交流も盛んに行っており、患者さんにとってより良い選択肢を提供できるような体制を整えています。臨床研究も患者さんのご協力の元、数多く行っており、今後も、より安全で高いレベルの治療法の確立を目指し、日々臨床データの集積や臨床研究を行い、より良い医療を提供していきます。
現在行っている医師主導臨床試験は、「膵臓癌検出における糖鎖修飾リボヌクレアーゼ1の有用性の検討」で、膵臓がんの早期発見に向けて研究を行っています。また、内視鏡的逆行性膵胆管造影検査関連手技における工夫についてもデータを集積し解析を行っています。

以上、各研究班とも常に先端技術を取り入れ、より良い治療法を開発するための臨床試験や治験を行い、その結果を国内外の学会や学術論文として発表しております。

近年の主な業績

  1. Oguri N, Sakuraba A, Morikubo H, Kikuchi O, Sato T, Tokunaga S, Minowa S, Ikezaki O, Mitsui T, Miura M, Saito D, Hayashida M, Mori H, Osaki T, Kamiya S, Senoh M, Kato H, Hisamatsu T: Community-acquired fulminant colitis caused by binary toxin-producing Clostridium difficile in Japan.Clin J Gastroenterol. 2019 Feb 14. doi: 10.1007/s12328-019-00949-z.
  2. Hisamatsu T, Matsumoto T, Watanabe K, Nakase H, Motoya S, Yoshimura N, Ishida T, Kato S, Nakagawa T, Esaki M, Nagahori M, Matsui T, Naito Y, Kanai T, Suzuki Y, Nojima M, Watanabe M, Hibi T; DIAMOND study group: Concerns and side effects of azathioprine during adalimumab induction and maintenance therapy for Japanese patients with Crohn's disease: a sub-analysis of a prospective randomized clinical trial (DIAMOND study).J Crohns Colitis. 2019 doi: 10.1093/ecco-jcc/jjz030.
  3. Hisamatsu T, Kunisaki R, Nakamura S, Tsujikawa T, Hirai F, Nakase H, Watanabe K, Yokoyama K, Nagahori M, Kanai T, Naganuma M, Michimae H, Andoh A, Yamada A, Yokoyama T, Kamata N, Tanaka S, Suzuki Y, Hibi T, Watanabe M; CERISIER Trial group: Effect of elemental diet combined with infliximab dose escalation in patients with Crohn's disease with loss of response to infliximab: CERISIER trial. Intest Res. 16(3):494-498, 2018.
  4. Hisamatsu T, Ohno A, Chiba T: Linked Color Imaging identified UC Associated Colorectal Cancer. A case report. Dig Endosc. 30(2):267, 2018.
  5. Saito D, Hayashida M, Sato T, Minowa S, Ikezaki O, Mitsui T, Miura M, Sakuraba A, Hisamatsu T: Evaluation of the drug-induced lymphocyte stimulation test for diagnosing mesalazine allergy. Intest Res. 16(2):273-281, 2018.

当教室の詳細は、消化器内科のホームページを御覧下さい。

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