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Faculty of Medicine衛生学公衆衛生学教室

教室専任教員

教授
准教授
講師

教室概要

衛生学公衆衛生学教室は、2000年3月までは衛生学教室と公衆衛生学教室の2教室に分かれていましたが、2000年4月より両者が合体して1つの教室となりました。疾病を予防し、健康を保持・増進させ、さらに生活の質の向上を図ることを到達目標として、教育・研究・社会活動を意欲的に推し進めています。研究活動においては、其々の学術的関心と経験を活かし、基礎的実験研究から疫学的・社会学的調査研究に至るまで、幅広いレパートリーを誇る研究成果が生み出されています。

教育の特色

衛生学公衆衛生学に関する医学教育は、主に3年生(M3衛生学)と6年生(M6公衆衛生学)に対して実施されています。またM1~M6を通して、社会医学境界領域に関わるオムニバス講義や臨床総合演習の一部を担当しており、基礎的知識の提供から、応用的なあるいは専門的なテーマ/課題の紹介、最新トピックスについての話題提供など、広範な取り組みがなされています。

社会的活動

教室員は、日本衛生学会、日本産業衛生学会、日本健康学会、日本公衆衛生学会、日本疫学会などの諸学会で枢要な立場を占め、活発に活動しています。社会における活動としては、内閣府食品安全委員会や厚生労働省薬事審議会、消費者庁食品衛生基準審査会、厚生労働省難治性疾患政策研究事業、国立極地研究所・南極観測センター、日本医学会連合、三鷹市男女平等審議会、北多摩南部地域保健医療協議会等の委員を担い、公衆衛生の推進や社会貢献に努めています。社会医学の質の向上を目指し、専門性の高い研究機関や官庁・自治体との協力体制を深めながら、積極的に社会活動を行っております。

研究テーマ

疫学的手法を用いたアプローチ

疫学(Epidemiology)とは、人間集団における疾患や健康に関する事象の発生原因や変動するさまを明らかにし、疾病予防と健康増進を目標とする応用科学です。これまで、地域あるいは職域のさまざまなフィールドから得られた調査データに基づき、生活習慣や環境物質に起因する種々の慢性疾患、特に循環器疾患や眼疾患、自律神経機能障害等の予防に関する研究を幅広く行ってきました。なかでも、重金属・浮遊粒子状物質・マイクロプラスチックなどの環境汚染物質による健康影響の評価、また、生活習慣と高度近視の関連性や摂食嚥下機能の向上についての実践的研究には力を入れて取り組んでおり、効果的対処法の提案を見据えた調査・研究を展開しています。

疫学・生物統計学的手法は、公衆衛生学領域だけでなく臨床医学研究においても重要性が高いため、学内外の多分野の研究者と協同して環境因子や疾病関連因子との関係を多面的に分析することにより、地域・職域や臨床の現場で役立つエビデンスの創出を図っております。研究成果は日本衛生学会、日本産業衛生学会、日本公衆衛生学会、日本健康学会、国際労働衛生会議(ICOH)、国際疫学会(IEA)、視覚と眼科学研究協会会議(ARVO)等で発表を行っているほか、官公庁の審議会や協議会、学会等の委員として情報共有と成果活用に努めています。

生物実験によるアプローチ

近年、肥満・老化に伴い低レベルの全身性の慢性炎症が惹起され、これらの疾患の炎症性病態を形成していることが明らかとなっており、これまでに炎症反応の中心的細胞であるマクロファージに焦点を当て、マウス等の小動物を用いた実験により炎症反応制御機構の解明を進めてきました。また、糖尿病をはじめとする生活習慣病の病態改善と予防を目的とした、習慣的な運動や機能性食品の摂取による全身性の慢性炎症軽減効果に関する実験研究も行っています。これらの研究をさらに発展させ、肥満に伴う慢性炎症性病態の解明と有効な運動処方や機能性食品処方の創出を目指しています。

さらに、分子疫学課題につながる実験研究として、ヒト疾患モデルを含む水棲生物(有害物質評価モデル生物として有用とされる実験用メダカ等)を用いて、マイクロプラスチック等の環境汚染物質による生体影響、がん関連遺伝子影響および糖尿病網膜症・白内障に関わる病因メカニズムの解明を進めています。今後疫学研究から得られた仮説を検証し、疾病予防に資する科学的根拠の確立を目指しています。

これらの研究成果は日本衛生学会、日本体力医学会、日本栄養・食糧学会、統合医療機能性食品国際学会等で発表を行っています。

近年の主な業績

  1. Chisada S, Ohtsuka K, Fujiwara M, Yoshida M, Matsushima S, Watanabe T, Karita K, Ohnishi H. A rad50 germline mutation induces tumorigenesis and ataxia-telangiectasia phenotype in a transparent medaka model. PLoS One 18(4): e0282277, 2023.
  2. Shirato K, Sato S. Macrophage meets the circadian clock: Implication of the circadian clock in the role of macrophages in acute lower respiratory tract infection. Front Cell Infect Microbiol 12: 826738, 2022.
  3. Chisada S, Yoshida M, Karita K. Polyethylene microbeads are more critically toxic to the eyes and reproduction than the kidneys or growth in medaka, Oryzias latipes. Environ Pollut 268 (Pt B):115957, 2021.
  4. Shirato K, Takanari J, Kizaki T: Standardized extract of Asparagus officinalis stem attenuates SARS-CoV-2 spike protein-induced IL-6 and IL-1β production by suppressing p44/42 MAPK and Akt phosphorylation in murine primary macrophages. Molecules 26: 6189, 2021.
  5. Chisada S, Yoshida M, Karita K. Ingestion of polyethylene microbeads affects the growth and reproduction of medaka, Oryzias latipes. Environ Pollut 254(Pt B):113094, 2019.
  6. Karita K, Iwata T, Maeda E, Sakamoto M, Murata K. Assessment of cardiac autonomic function in relation to methylmercury neurotoxicity. Toxics 6(3):38, 2018.
  7. Shirato K, Koda T, Takanari J, Sakurai T, Ogasawara J, Imaizumi K, Ohno H, Kizaki T. Anti-Inflammatory Effect of ETAS®50 by Inhibiting Nuclear Factor-κB p65 Nuclear Import in Ultraviolet-B-Irradiated Normal Human Dermal Fibroblasts. Evid Based Complement. Alternat Med 2018: 5072986, 2018.
  8. Chisada S, Hirako A, Sugiyama A. Ocular lesions in leptin receptor-deficient medaka (Oryzias latipes). J Toxicologic Pathology, 31(1):65-72, 2018.
  9. Shirato K, Imaizumi K, Sakurai T, Ogasawara J, Ohno H, Kizaki T. Regular Voluntary Exercise Potentiates Interleukin-1βand Interleukin-18 Secretion by Increasing Caspase-1 Expression in Murine Macrophages. Mediators Inflamm 2017: 9290416, 2017.
  10. Yoshida M, Take S, Ishikawa M, Kokaze A, Karita K, et al. Association of smoking with intraocular pressure in middle-aged and older Japanese residents. Environ Health Prev Med 19: 100-107, 2014.

日本語の解説・書籍など

  1. 苅田香苗:鉛による環境汚染の時代変遷と健康リスク.保健の科学65:375-380, 2023.
  2. 苅田香苗:諸外国にみられる少子化対策.保健の科学64: 461-466, 2022.
  3. 苅田香苗(分担執筆):環境汚染と公害,国際保健. コンパクト公衆衛生学・第7版.松浦賢長・小林廉毅・苅田香苗 編著.朝倉書店.2022.
  4. 吉田正雄(分担執筆):健康教育・行動変容.コンパクト公衆衛生学・第7版.松浦賢長・小林廉毅・苅田香苗 編著.朝倉書店.2022.
  5. 白土健, 木崎節子:マクロファージのインスリン受容体の整理・病理的役割:習慣的運動の効果.別冊BIO Clinica 慢性炎症と疾患8(1): 105-109, 2019.