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衛生学公衆衛生学教室

教室スタッフ

教授 角田 透 谷口 善仁 木崎 節子
准教授 苅田 香苗
講師 吉田 正雄 櫻井 拓也 小笠原 準悦
助教 白土 健

衛生学公衆衛生学教室は、2000年3月までは衛生学教室と公衆衛生学教室の2教室に分かれていましたが、2000年4月より両者が合体して1つの教室となりました。現在、教室主任の大野秀樹教授と角田透教授の2名の教授が教室運営に当たっており、研究グループもそれぞれの教授を中心とした3つのグループが存在しています。教室全体としての研究テーマの柱は、「運動や食生活、嗜好などの生活習慣に着目した疾病予防対策」です。大学院生や研究生も含めた豊富なスタッフの精力的な研究活動により、基礎的実験研究から疫学的/社会学的調査研究に至るまで、幅広いレパートリーを誇る研究成果が生み出されています。

衛生学公衆衛生学に関する医学教育は、3年生(M3)から6年生(M6)までの4学年に亘り実施されています。基礎的知識の提供から、応用的なあるいは専門的なテーマに関する講義や今日的トピックスについての話題提供、それに国家試験対策を主眼とした集中講義(M6)と、豊富なスタッフの下で、鋭意、広範囲な取り組みがなされています。


研究グループ及び研究課題

大野グループ

体内の活性酸素の増加による酸化ストレス増加は、細胞やDNAの損傷を引き起こし、がんや動脈硬化などの病気の発症に関与しています。また、最近、酸化ストレスは糖尿病の発症にも関係していることがわかってきました。現在、糖尿病などの生活習慣病患者の増加は深刻な社会問題となっています。したがって、生活習慣病の改善手段を探ることは今後ますます重要になっていくことが予想されます。当グループは、肥満、糖尿病を中心にした生活習慣病を酸化ストレスを1つの指標として、新しい知識、技術を利用して追求し、実際のセラピーまで応用できることを目指して研究活動を行っています。そのために、運動(エクササイズ)も有力なツールとして取り入れています。具体的には、糖尿病治療薬であるグリグラジドが、酸化ストレスによる膵β細胞(血糖を下げるホルモンであるインスリンを分泌しています)の細胞死を抑えることや、運動がマクロファージからのインターロイキン12(免疫反応に関与しています)の産生を高めること、骨格筋において酸化ストレスを消去する酵素(スーパーオキシドジスムターゼ: SOD)を増加させることを明らかにしてきました。今後は、内外の研究室との連携を深め、当グループの brush up を図り、教育、研究をさらに進めていきたいと考えています。

研究キーワード:酸化ストレスと健康、運動分子生物学、白色ならびに褐色脂肪組織・マクロファージを中心にした肥満・糖尿病の代謝変動と成因、地球環境科学

近年の主な業績

  1. Kizaki T, Izawa T, Sakurai T, Haga S, Taniguchi N, Tajiri H, Watanabe K, Day NK, Toba K, Ohno H: β2-Adrenergic receptor regulates Toll-like receptor-4-induced nuclear factor-κB activation through β-arrestin 2. Immunology. 124(3): 348-356, 2008.
  2. Ogasawara J, Sanpei M, Rahman N, Sakurai T, Kizaki T, Hitomi Y, Ohno Y, Izawa T : β- Adrenergic receptor trafficking by exercise in rat adipocytes : roles of G-protein-coupled receptor kinase-2, β-arrestin-2, and the ubiquitin-proteasome pathway. FASEB J. 20(2) : 350-352, 2006.
  3. Harada M, Fujino T, Oorui T, Nakachi S, Nou T, Kizaki T, Hitomi Y, Nakano N, Ohno H : Followup study of mercury pollution in indigenous tribe reservations in the Province of Ontario, Canada, 1975-2002. Bull Environ Contam Toxicol. 74(4) : 689-697, 2005.
  4. Itoh CE, Kizaki T, Hitomi Y, Hanawa T, Kamiya S, Ookawara T, Suzuki K, Izawa T, Saitoh D, Haga S, Ohno H : Down-regulation of β2- adrenergic receptor expression by exercise training increases IL-12 production by macrophages following LPS stimulation. Biochem Biophys Res Commun. 322(3) : 979-984, 2004.
  5. Kizaki T, Suzuki K, Hitomi Y, Taniguchi N, Saitoh D, Watanabe K, Onoe K, Day NK, Good RA, Ohno H : Uncoupling protein 2 plays an important role in nitric oxide production of lipopolysaccharide-stimulated macrophages. Proc Natl Acad Sci USA. 99 (14) : 9392-9397, 2002.
 

苅田グループ

苅田(准教授)と吉田(講師)は、地域あるいは職域のさまざまなフィールドから得られた調査データに基づき、生活習慣や加齢、環境物質に起因する種々の慢性疾患、特に呼吸器系疾患や眼疾患、ストレス関連疾患等に関する疫学的な研究を幅広く行っております。現在このグループでは、実験助手の阿部・松永、研究生の原田と協力して調査・研究をすすめています。
苅田は、これまで主に微量元素・ミネラルの必須性及び毒性を研究テーマとして、その変動要因と人体や動物への影響を検討する実験・調査を行ってきました。また、重金属や浮遊粒子状物質などの環境汚染物質による健康影響を評価する研究活動を行っており、国内外の大学・研究機関等と共同で調査を実施しています。最近では、女性の疾病予防を主眼とした疫学研究や、食・生活習慣およびストレスと味覚との関係を探索的に解明する研究に取り組んでいます。
吉田は、眼疾患に関する疫学的研究を本格的に手がけているわが国でも数少ない研究者の一人で、おもに白内障、緑内障および加齢黄斑変性と生活習慣との関連性や近視の進行の解明について研究を進めております。さらに栄養疫学の分野で、栄養摂取と種々の慢性疾患の関連性に関する研究にも鋭意取り組んでいます。
これからも様々な専門を背景とした研究者との連携を深め、社会医学の質の向上を目指し、研究と教育活動に力を注いでいきたいと思います。

近年の主な業績

  1. 苅田香苗、吉田正雄、原田まつ子、石川 守、小風 暁.人間ドックの判定が見所見であった中高年女性の特性―体格・閉経および長寿関連ミトコンドリア遺伝子多型との関連.保健医療科学 62(1), 2013.
  2. Karita K, Harada M, Yoshida M, Kokaze A. Factors associated with dietary habits and mood states affecting taste sensitivity in Japanese college women. J Nutr Sci Vitaminol 58:362-367, 2012.
  3. Karita K, Yamanouchi Y, Takano T, Oku J, Kisaki T, Yano E. Associations of blood selenium and serum lipid levels in Japanese premenopausal and postmenopausal women. Menopause 15: 119-124, 2008.
  4. Yoshida M, Inoue M, Iwasaki M, Tsugane S; JPHC Study Group. Association of body mass index with risk of age-related cataracts in a middle-aged Japanese population. Environ Health Prev Med 15: 367-373, 2010.
  5. 高島 豊、吉田正雄:臨床栄養医学.日本臨床栄養学会監修.東京, 南山堂, 2009. p.228-232
 

角田グループ

当グループは角田 透(教授)、照屋浩司(保健学部-医学部兼担教授)、松井知子(保健学部-医学部兼担講師)、岡本博照(講師)で構成され、教育と研究に携わっています。教育では医学部3年生の衛生学と医学統計学、6年生の公衆衛生学について、他グループと協力して担当しています。衛生学と公衆衛生学では、医学生には病気だけでなく、病者やその家族、さらには社会にも関心を持っていただきたいと考えており、機会があれば夏季休暇等を利用して診療所、地域病院、介護施設、保健所や産業医、へき地医療の見学などもできるように、医学生に対して門戸を開いております。医学統計学では、情報処理技術の発展に伴う統計ソフトの普及の結果、以前に比べ統計処理がしやすくなった半面、統計処理の誤った使用が目立ってきております。そのため、本学の教育では統計の原理の理解のほか応用とその解釈にも力を入れ、短い時間ながらコンピュータを使用した演習を設けております。
研究では(1)労働者の健康管理、と(2)地域における生活習慣病の予防の2大テーマを掲げ、各々が研究活動しています。労働者の健康管理では労働者の生活習慣病予防という一般的なテーマ以外に、教職員や看護師のメンタルヘルス(松井)、医師や救急隊員のストレスと健康(岡本)など、わが国でも珍しい研究テーマを扱っています。地域における生活習慣病の予防では、アルコール問題(角田)、沖縄県某地区の住民健診の縦断研究(1982~2005年、角田、照屋)、三鷹市中高年者の健康の縦断研究(1992年~、角田、照屋、岡本)などのテーマを扱っており、これらは単なる研究活動だけでなく地域住民の健康の保持増進につながる学外活動として重点を入れて活動しております。今後も社会との関わりの深い研究テーマおよび活動に取り組みたいと思っております。

近年の主な業績

  1. Takemae R, Uemura T, Okamoto H, et, al: Changes in mental health and quality of life with dental implants as evaluated by General Health Questionnaire (GHQ) and Health Utilities Index (HUI).Environ Health Prev Med 2012; 17: 463-473.
  2. 松井知子、角田 透、ほか:平成22年度 産業保健調査研究報告書「産業保健活動を支援するための方策に関する調査研究医療従事者のメンタルヘルスの向上についての研究 -看護職・心理職等を対象とした実態調査と研修マニュアルの提案-」、2010
  3. ICHIKAWA K, MATSUI T, TSUNODA T, et al: The relationship of sleep duration and mental health with electrocardiographic findings: a retrospective-cohort study in Okinawa, Japan. Environ Health Prev Med 2008; 13: 227-233.
  4. FUKAZAWA S, TERUYA K, UEMURA T, et al: The relationship between long-term changes in plasma B-type natriuretic peptide levels and electrocardiographic findings. Environ Health Prev Med 2008; 13: 156-161.
  5. OKAMOTO H, TSUNODA T, TERUYA K, et al: An Occupational Health Study of Emergency Physicians in Japan: Health Assessment by Immune Variables (CD4, CD8, CD56, and NK Cell Activity) at the Beginning of Work. J Occup Health 2008; 50: 136-146.
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