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感染症学教室

教室専任教員

教授 三戸部 治郎 大崎 敬子 花輪 智子
准教授 竹尾 暁
講師 米澤 英雄 新倉 保

教室概要

感染症学教室は微生物学部門寄生虫学部門の2つの部門から構成されます。

微生物学部門では主に消化器および呼吸器の細菌感染症に関する研究を行っています。研究室の方針として基礎研究を通して感染症の診断、病態解明、治療など臨床医学との連携を志向した感染症学の探求を行うことを目標にしています。また他大学との共同研究も積極的に取り組んでいます。

寄生虫学部門では宿主-寄生虫相互作用の解明に向けて研究を行っています。当部門では、臨床部門からの寄生虫感染症のコンサルテーションに加えてマラリアの感染防御/免疫制御機構、病態発症/抑制機構、抗マラリア薬開発のための新規創薬ターゲットの探索に関する研究を行っています。

微生物学部門

教育の特色

微生物学部門では医学部2年生で行なわれる「感染症・免疫学」を担当しており、約一年間にわたり感染症学と免疫学に関する講義を行なっています。12月に行われる実習は 1週間かけて病原細菌、ウイルスについて理解を深め、さらに免疫学的反応とその意義について学びます。また2年生前期の「人文・生命科学特論」では人文系と基礎系教員の協力を得て、幅広い教養を身につける手助けをします。6年生の臨床総合演習「消化器感染症」では国家試験問題の演習を行います。

社会的活動

  • 日本無菌生物ノートバイオロジー学会事務局
  • 日本ヘリコバクター学会・日本無菌生物ノートバイオロジー学会 理事
  • 日本細菌学会・腸内細菌学会・日本臨床微生物学会 評議員
  • 日米医学協力研究会コレラ・細菌性腸管感染症専門部会 パネルメンバー

研究テーマ

赤痢菌の病原性発現機構の解析とワクチン開発

細菌性赤痢は先進国では少ないものの、全世界で下痢症の原因の第2位を占め有効なワクチンが開発されていません。基礎研究から赤痢菌の病原性に必須な3型分泌装置の発現を調節するRNA結合蛋白Hfqを見つけ、それを欠損させた赤痢菌が多くの血清型の赤痢菌に対して動物実験レベルで効果があることを見つけ、その改良を行っています。

桿菌の形態形成に関わる蛋白のRNA結合能の解析

赤痢菌の3型分泌装置の発現を調節する別のRNAの結合蛋白として見つけた因子は驚いたことに、桿菌の桿状の形態を維持するRodZという膜蛋白と同じものでした。RodZが6量体の基本構造が集合した大きな構造をとることを証明し、病原性以外の遺伝子の発現に関与するか調べています。

消化管における細菌のクロストーク

ヒトの細胞数はおよそ40兆個あるとされていますが、ヒトの体にはそれより多い100兆個から1,000兆個の細菌がいます。当研究室では胃に感染し、慢性胃炎の原因となるピロリ菌の感染と胃内マイクロビオータの関連および口腔内細菌の感染への影響について解析を行なっています。

百日咳菌と宿主の相互作用の解析

感染症は細菌と宿主の相互作用の結果起こります。細菌が宿主内で感知する環境の変化が細菌の病原性にどのような影響を及ぼすかについて百日咳菌のバイオフィルムから分泌される外膜ヴェシクル(OMV)を用いて解析しています。

ファージ療法に向けた取り組み

バクテリオファージは細菌に感染するウイルスです。現在問題となっている多剤耐性菌をターゲットとして、細菌感染症の治療法(ファージ療法)の確立に向けた研究を救急医学教室との共同研究により行っています。

近年の主な業績(5件)

  1. Yonezawa H, Motegi M, Oishi A, Hojo F, Higashi S, Nozaki E, Oka K, Takahashi M, Osaki T, Kamiya S. Lantibiotics produced by oral inhabitants as a trigger for dysbiosis of human intestinal microbiota. Int. J. Mol. Sci. 2021;25;22(7):3343. doi: 10.3390/ijms22073343.
  2. Mitobe J., Nishiumi F., Yanagihara I., Yamamoto Y., Ohnishi M., Superstructure formation by RodZ hexamers of Shigella sonnei maintains the rod shape of bacill. PLoS One 2020;15(2):e0228052.doi: 10.1371/journal.pone.
  3. Hanawa T, Shimoda-Komatsu Y, Araki K, Ohyama M, Ohnishi H, Kamiya S, Matsuda T. Skin and Soft Tissue Infections Caused by Different Genotypes of PVL-Positive Community-Acquired Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus Strains. Jpn. J. Infect. Dis. 2020 Jan 23;73(1):72-75. doi: 10.7883/yoken.JJID.2019.162.
  4. Yonezawa H, Osaki T, Hojo F, Kamiya S. Effect of Helicobacter pylori biofilm formation on susceptibility to amoxicillin, metronidazole and clarithromycin. Microb. Pathog. 2019 132:100-108. doi: 10.1016/j.micpath.2019.04.030.
  5. Zaman C, Osaki T, Furuta Y, Hojo F, Yonezawa H, Konno M, Kurata S, Hanawa T, Kamiya S. Enhanced infectivity of strains of Helicobacter pylori isolated from children compared with parental strains. J. Med. Microbiol. 68:633-641. 2019. doi: 10.1099/jmm.0.000918


寄生虫学部門

教育の特色

寄生虫学部門では、医学部2年生の前期で行なわれる「熱帯病・寄生虫学」を担当しています。6月~7月にかけて行われる「熱帯病・寄生虫学実習」では、赤痢アメーバやランブル鞭毛虫の栄養型の検出、魚類からのアニサキスの検出などを行い、実際に動いている寄生虫を観察することで、寄生虫症の病態、検査、治療、予防への理解を深めます。

社会的活動

教室員は、日本寄生虫学会、日本熱帯医学会、日本免疫学会、日本分子生物学会などに所属し、活発に活動しています。

研究テーマ

マラリアは、全世界で年間約2億人が発症し、アフリカの小児を中心に毎年40万人を超える人命を奪う寄生虫疾患です。また、妊婦がマラリア原虫に感染すると様々な合併症を引き起こし、母体だけでなく胎児にも重大な影響を与えることが知られています。マラリアの病態は、マラリア原虫が赤血球内で増殖するステージ(赤内期)で起こります。しかし、この時期の宿主側の防御免疫応答や寄生虫側の免疫回避機構に関する解析が十分になされているとはいえません。当部門では、マラリアのマウスモデルを用いて、1)妊娠マラリアの病態に関わる新たな宿主因子の探索、2)マラリア原虫に対する防御免疫応答において鍵となる分子や細胞の探索、3)マラリア原虫のエネルギー代謝機構の解明などに焦点をあて、フローサイトメーター、生体イメージング解析、比較プロテオーム解析などにより研究を進めています。また、抗マラリア薬開発のための新規創薬ターゲットの探索や抗マラリア活性を有する化合物のin vivo評価などを行っています。

近年の主な業績(5件)

  1. Niikura M, Fukutomi T, Fukui K, Inoue SI, Asahi H, Kobayashi F. G-strand binding protein 2 is involved in asexual and sexual development of Plasmodium berghei. Parasitol. Int. 2020 Jan 18;76:102059. doi: 10.1016/j.parint.2020.102059.
  2. Niikura M, Inoue SI, Fukutomi T, Yamagishi J, Asahi H, Kobayashi F: Comparative genomics and proteomic analyses between lethal and nonlethal strains of Plasmodium berghei. Exp. Parasitol. 185: 1-9, 2018. doi: 10.1016/j.exppara.2018.01.001.
  3. Inoue SI, Niikura M, Asahi H, Kawakami Y, Kobayashi F. γδ T cells modulate humoral immunity against Plasmodium berghei infection. 2018 Immunology 155, 519-532 doi:10.1111/imm.12997. Epub 2018 Sep24
  4. Niikura M, Inoue SI, Mineo S, Asahi H, Kobayashi F: IFNGR1 signaling is associated with adverse pregnancy outcomes during infection with malaria parasites. PLoS One 12 (11): e0185392, 2017. doi: 10.1371/journal.pone.0185392.
  5. Niikura M, Komatsuya K, Inoue SI, Matsuda R, Asahi H, Inaoka DK, Kita K, Kobayashi F: Suppression of experimental cerebral malaria by disruption of malate:quinone oxidoreductase. Malar J. 16 (1): 247, 2017. doi: 10.1186/s12936-017-1898-5.
倫理委員会・利益相反
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