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感染症学教室

教室専任教員

准教授 竹尾 暁 大崎 敬子 花輪 智子
講師 米澤 英雄 蔵田 訓 井上 信一
  新倉 保

教室概要

感染症学教室は微生物学部門寄生虫学部門の2つの部門から構成されます。


微生物学部門では主に消化器および呼吸器の細菌感染症に関する研究を行っています。研究室の方針として基礎研究を通して感染症の診断、病態解明、治療など臨床医学との連携を志向した感染症学の探求を行うことを目標にしています。また他大学との共同研究も積極的に取り組んでいます。

寄生虫学部門では宿主-寄生虫相互作用の解明に向けて研究を行っています。寄生虫疾患は日本では激減しましたが、眼を世界に転ずると熱帯地域の開発途上国を中心に10億人を超える人々が寄生虫疾患で苦しんでいます。地球温暖化に伴う流行地拡大も予想されていることから、熱帯感染症・寄生虫病は開発途上国に限られた問題ではなく、世界の安全と平和、健全な社会経済発展を脅かす重要な要因であり、地球規模の問題として取り組むべき課題といえます。当部門では、特に、エイズ、結核と並ぶ三大感染症の1つである"マラリア"の感染防御/免疫制御機構、病態発症/抑制機構、抗マラリア薬開発のための新規創薬ターゲットの探索に関する研究を行っています。

微生物学部門

「学部教育」に関する特色

微生物学部門では医学部2年生で行なわれる「感染症・免疫学」を担当しており、約一年間にわたり感染症学、微生物学、免疫学に関する講義を行なっています。12月に行われる実習は 1週間かけて病原細菌、ウイルスについて理解を深め、さらに免疫学的反応とその意義について学びます。更に医学部2年生(「人文・生命科学特論」)、4年生(「皮膚・形成」)および6年生(「感染症」)の科目において各1コマの講義を担当しています。

地域社会における活動

  • 国際ノートバイオロジー学会事務局
  • 日本無菌生物ノートバイオロジー学会事務局
  • 日本バイオフィルム学会事務局
  • Medical Microbiology Interdisciplinary Commission (MEMIC)事務局
  • アジアマイコプラズマ学会事務局

研究テーマ

消化管における細菌のクロストーク

ヒトの細胞数はおよそ40兆個あるとされていますが、ヒトの体にはそれより多い100兆個から1,000兆個の細菌がいます。当研究室では胃に感染し、慢性胃炎の原因となるピロリ菌の感染と胃内マイクロビオータの関連および口腔内細菌の感染への影響について解析を行なっています。

呼吸器感染症における細菌の応答と発症病理

感染症は細菌と宿主の相互作用の結果起こります。細菌が宿主内で感知する環境の変化が細菌の病原性にどのような影響を及ぼすかについて百日咳菌を用いて解析しています。また、宿主の免疫系を介して発症するマイコプラズマ・ニューモニエ感染症の発症病理を明らかにする研究を進めています。

細菌のバイオフィルム形成と病態発現

細菌は環境や生体内にて基質や組織表面に接着した後、菌体外多糖を分泌することにより、細菌の周囲にはフィルム状の構造物、バイオフィルムが形成されます。バイオフィルムは抗菌薬の細菌へのアクセスを阻害するとともに、好中球やマクロファージなどの貪食細胞による貪食に抵抗性を示すことにより、病原細菌の持続感染を許容します。様々な病原細菌(百日咳菌、ピロリ菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌など)のバイオフィルム形成と病態発現についての基礎的な研究を行なっています。

近年の主な業績

  1. Osaki T, Zaman C, Yonezawa H, Lin Y, Okuda M, Nozaki E, Hojo F, Kurata S, Hanawa T, Kikuchi S, Kamiya S. Influence of Intestinal Indigenous Microbiota on Intrafamilial Infection by Helicobacter pylori in Japan. Front Immunol, 21;9:287. doi: 10.3389/fimmu.2018.00287, 2018.
  2. Osaki T, Mabe K, Zaman C, Yonezawa H, Okuda M, Amagai K, Fujieda S, Goto M, Shibata W, Kato M, Kamiya S. Usefulness of detection of clarithromycin-resistant Helicobacter pylori from fecal specimens for young adults treated with eradication therapy. Helicobacter, 22(5). doi: 10.1111/hel.12396, 2017.
  3. Yonezawa H, Osaki T, Fukutomi T, Hanawa T, Kurata S, Zaman C, Hojo F, Kamiya S: Diversification of the AlpB outer membrane protein of Helicobacter pylori affects biofilm formation and cellular adhesion. J Bacteriol. 2017 Feb 28;199(6). pii: e00729-16. doi: 10.1128/JB.00729-16. Print 2017 March 15, PMID:28031283
  4. Hanawa T, Kamachi K, Yonezawa H, Fukutomi T, Kawakami H, Kamiya S. Glutamate Limitation, BvgAS Activation, and (p)ppGpp Regulate the Expression of the Bordetella pertussis Type 3 Secretion System. J Bacteriol. 2016. 2;198(2):343-51.
  5. Kurata S, Nakashima T, Osaki T, Uematsu N, Shibamori M, Sakurai K, Kamiya S. Rebamipide protects small intestinal mucosal injuries caused by indomethacin by modulating intestinal microbiota and the gene expression in intestinal mucosa in a rat model. J Clin Biochem Nutr. 2015. 56(1):20-7.

微生物学部門の詳細は、感染症学教室(微生物学)のページを御覧下さい。



寄生虫学部門

マラリアは、全世界で年間2億人が発症し、アフリカの小児を中心に毎年40万人を超える人命を奪う寄生虫疾患です。マラリアの病態は赤内期に起こりますが、この時期の宿主側の防御免疫応答や寄生虫側の免疫回避機構に関する解析が十分になされているとはいえません。当部門では、種々のマラリア原虫と遺伝子欠損マウスなどを用いて、1)致死性と非致死性のマラリアにおいて宿主の免疫応答がどのように異なるのか、2)自然治癒するマラリアでは感染初期や回復期にどのような免疫応答が主に惹起されるのか、3)防御に関わる鍵となる分子や細胞はどれかなどに焦点をあて、フローサイトメーター、RT-PCR、免疫電顕法などにより研究を進めています。また、原虫遺伝子改変技術を用いた効果的ワクチン候補抗原の探索とそれに対する応答、寄生虫複合感染による病態抑制機構、原虫感染による宿主造血細胞の制御機構、妊娠関連マラリア発症に関わる新たな宿主因子についても解析を進めています。

「学部教育」に関する特色

寄生虫学部門では、医学部2年生の前期で行なわれる「熱帯病・寄生虫学」を担当しています。6月~7月にかけて行われる「熱帯病・寄生虫学実習」では、赤痢アメーバやランブル鞭毛虫の栄養型の検出、魚類からのアニサキスの検出、マンソン住血吸虫の成虫の検出などを行い、実際に動いている寄生虫を観察することで、寄生虫症の病態、検査、治療、予防への理解を深めます。また、医学部4年生の「感染症」の科目において、寄生虫感染症の講義を担当しています。加えて、保健学部臨床検査技術学科の「医動物学」と「医動物学実習」の科目において原虫類を担当し、かつ同学科の卒業研究の指導を行っています。

地域社会における活動

教室員は、日本寄生虫学会、日本熱帯医学会、日本免疫学会、日本分子生物学会などに所属し、活発に活動しています。

研究テーマ

マラリアは、全世界で年間約2億人が発症し、アフリカの小児を中心に毎年40万人を超える人命を奪う寄生虫疾患です。また、妊婦がマラリア原虫に感染すると様々な合併症を引き起こし、母体だけでなく胎児にも重大な影響を与えることが知られています。マラリアの病態は、マラリア原虫が赤血球内で増殖するステージ(赤内期)で起こります。しかし、この時期の宿主側の防御免疫応答や寄生虫側の免疫回避機構に関する解析が十分になされているとはいえません。当部門では、マラリアのマウスモデルを用いて、1)妊娠マラリアの病態に関わる新たな宿主因子の探索、2)マラリア原虫に対する防御免疫応答において鍵となる分子や細胞の探索、3)マラリアにおける免疫記憶細胞の形成と維持機構の解明、などに焦点をあて、フローサイトメーター、生体イメージング解析、比較プロテオーム解析などにより研究を進めています。また、抗マラリア薬開発のための新規創薬ターゲットの探索や抗マラリア活性を有する化合物のin vivo評価などを行っています。

近年の主な業績

  1. Mamoru Niikura, Shin-Ichi Inoue, Toshiyuki Fukutomi, Junya Yamagishi, Hiroko Asahi, Fumie Kobayashi: Comparative genomics and proteomic analyses between lethal and nonlethal strains of Plasmodium berghei. Exp Parasitol. 185: 1-9, 2018. doi: 10.1016/j.exppara.2018.01.001.
  2. Mamoru Niikura, Shin-Ichi Inoue, Shoichiro Mineo, Hiroko Asahi, Fumie Kobayashi: IFNGR1 signaling is associated with adverse pregnancy outcomes during infection with malaria parasites. PLoS One. 12 (11): e0185392, 2017. doi: 10.1371/journal.pone.0185392.
  3. Hiroko Asahi, Shin-Ichi Inoue, Mamoru Niikura, Keisuke Kunigo, Yutaka Suzuki, Fumie Kobayashi, Fujiro Sendo: Pyknosis and developmental arrest induced by an opioid receptor antagonist and dihydroarthemisinin in Plasmodium falciparum. PLoS One. 12 (9): e0184874, 2017. doi: 10.1371/journal.pone.0184874.
  4. Mamoru Niikura, Keisuke Komatsuya, Shin-Ichi Inoue, Risa Matsuda, Hiroko Asahi, Daniel Ken Inaoka, Kiyoshi Kita, Fumie Kobayashi: Suppression of experimental cerebral malaria by disruption of malate:quinone oxidoreductase. Malar J. 16 (1): 247, 2017. doi: 10.1186/s12936-017-1898-5.
  5. Shin-Ichi Inoue, Mamoru Niikura, Hiroko Asahi, Yoichiro Iwakura, Yashushi Kawakami, Fumie Kobayashi: Preferencially expanding Vγ1+ γδ T cells are associated with protective immunity against Plasmodium infection in mice. Eur J Immunol. 47 (4): 685-691, 2017. doi: 10.1002/eji.201646699.

寄生虫学部門の詳細は、感染症学教室(寄生虫学)のページを御覧下さい。

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