大学ホーム医学研究科教育・研究指導研究室・研究グループ化学教室

研究室・研究グループ紹介:化学教室

大学院担当教員

教授 丑丸 真
准教授 須賀 圭
講師 山本 幸子

細胞内では様々なイオンが生体反応の制御に関与しています。細胞内イオン環境の変化によって、細胞分裂や細胞運動、遺伝子発現など様々な細胞応答が起こります。細胞内のイオン環境を維持している働きをしているものが、さまざまなイオン輸送 ATPase です。この ATPase の中には、イオン輸送機構や機能調節機構が十分には明らかになっていないものもあります。また、細胞内やオルガネラ内腔のイオン環境の乱れは、細胞を異常な状態に陥らせ、細胞死を引き起こす結果、神経変性疾患などの疾病を引き起こします。

我々の研究室では、ゴルジ体に存在する Ca2+/Mn2+輸送ATPase の機能解析やゴルジ体内腔へのイオン輸送を調節する仕組みの解明などを目指して研究を進めています。また、近年は、ゴルジ体などのオルガネラのイオンバランスの乱れなどによるオルガネラストレスにより引き起こされる神経変性疾患の発症機構の解明へと、研究が発展してきています。

Ca2+/Mn2+ 輸送 ATPase SPCA の機能解析

細胞内で様々な細胞応答を制御する Ca2+ は、Ca2+チャネルや Ca2+結合タンパク、そして Ca2+輸送ATPase の働きで、その細胞内動態が厳密に調節されています。Ca2+/Mn2+輸送ATPase である SPCA もその調節を担う分子です。比較的最近になって見出された SPCA の生理機能には、まだ不明な点が多くあります。特に、SPCA が細胞内でどのような分子と関りを持つのか、どのような細胞環境で活発に機能するのか、またそれらが細胞内の Ca2+動態の維持にどのように寄与するのかなど、まったく分かっていません。我々は、SPCA の相互作用分子の探索と解析、特異的阻害剤の探索などを通して、この分子の生理機能の解明を目指しています。

細胞内ストレス応答と神経変性疾患

神経変性疾患で見られる細胞死は、神経細胞に特有な不良蛋白質の蓄積やオルガネラの機能障害が引き金となり、オルガネラ間コミュニケーションの破綻が原因で起こると考えています。その仮説のもと、未だ機序の不明な孤発性アルツハイマー病の発症機序の理解と根本的治療法の開発に向けた基盤研究を行っています。研究対象としては、ヒトを含めた霊長類からげっ歯類に至るまで、様々な哺乳類のニューロン・グリアなどの神経細胞が主な研究材料です。焦点を当てている具体的な分子としては、細胞内の小胞体からゴルジ体にかけて局在する SNARE タンパク質 Syx5 とカルシウムポンプである SPCA です。様々なストレス刺激に応答して細胞内で起こる一連のストレス応答機構へのそれら分子の関与を明らかにすべく、分子生物学・生化学・生理学・免疫組織化学的手法をはじめ、蛍光イメージング、発光検出の手法も駆使して研究をしています。研究の詳細については、須賀の教員紹介のページをご覧ください。また令和4年度の大学院医学研究科・医学研究講義II(2023/2/14 開講予定)で簡単な研究紹介を行う予定ですので、そちらの講義を参考にしていただくことも可能です。研究に参加希望の方は医学部事務課・大学院係もしくは須賀あてにご連絡ください。

近年の業績

  1. Suga K, Yamamoto-Hijikata S, Terao Y, Akagawa K, Ushimaru M: Golgi stress induces upregulation of the ER-Golgi SNARE Syntaxin-5, altered βAPP processing, and Caspase-3-dependent apoptosis in NG108-15 cells. Mol Cell Neurosci., 121:103754 (2022)
  2. Yamamoto-Hijikata S, Suga K, Homareda H, Ushimaru M: Inhibition of the human secretory pathway Ca2+, Mn2+-ATPase1a by 1,3-thiazole derivatives. Biochem Biophys Res Commun., 614:56-62 (2022)
  3. Sakurai T, Fukutomi T, Yamamoto S, Nozaki N, Kizaki T: Physical Activity Attenuates the Obesity-Induced Dysregulated Expression of Brown Adipokines in Murine Interscapular Brown Adipose Tissue. Int. J. Mol. Sci., 22(19):10391 (2021)
  4. Takahashi T, Minami S, Tsuchiya Y, Tajima K, Sakai N, Suga K, Hisanaga S, Ohbayashi N, Fukuda M, Kawahara H: Cytoplasmic control of Rab family small GTPases through BAG6. EMBO Rep., e46794. (2019)
  5. Homareda H, Otsu M, Yamamoto S, Ushimaru M, Ito S, Fukutomi T, Jo T, Eishi Y, Hara Y: A possible mechanism for low affinity of silkworm Na+/K+-ATPase for K. J Bioenerg Biomembr., 49(6): 463-472, (2017)
  6. Yamamoto S, Takehara M, Ushimaru M.: Inhibitory action of linoleamide and oleamide toward sarco/endoplasmic reticulum Ca2+-ATPase. Biochim Biophys Acta., 1861(1 Pt A):3399-3405 (2017)
  7. Yamamoto S, Takehara M, Kabashima Y, Fukutomi T, Ushimaru M: Identification of novel inhibitors of human SPCA2. Biochem Biophys Res Commun., 477(2):266-70 (2016)
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