大学ホーム医学研究科教育・研究指導研究室・研究グループ法医学教室

研究室・研究グループ紹介:法医学教室

研究グループ及び研究課題

法医学教室は、心臓刺激伝導系や心筋内に存在するコネキシン等のタンパク質の発現様態を免疫組織化学的に検索し、心臓性突然死との関連を調べています。また解剖に関連してエンバーミング(遺体衛生保全)をいち早く導入し、その有用性について研究を続けています。さらに法医遺伝学、歯科的個人識別、アルコール研究など、法医診断や鑑定で必要な検査技術の基礎的な研究を行っています。また、虐待防止についての検討会等も行なっております。

法医病理研究グループ

心臓性突然死とは、急性症状が起きてから短時間の死亡であり、心筋虚血、不整脈等を原因としています。特に不整脈による心臓性突然死は痕跡がなく法医診断が困難である事から、我々はその原因を解明し、その診断法を確立すべく、刺激伝導系を免疫組織化学的、肉眼解剖学的に検索しています。

虐待防止検討グループ

近年大きな社会問題となっている子ども虐待、ドメスティック・バイオレンス(DV)、高齢者虐待などについても、法医学の立場から多角的に分析し、社会に還元して役立てるように検討を行い、世間から虐待の無くなる日を目指して諸問題に取り組んでおります。また、平成20年度より、杏林大学大学院保健学研究科博士前期課程(修士)地域保健看護分野に新しく開設された法医看護学講座を担当し、日本で初めての法医看護師養成講座として講義を行います。日本にまだ存在しない法医看護師の育成に取り組んで行きます。

血液型・DNA 研究グループ

  • 親子鑑定:子の本当の父は誰か?当事者間について各種遺伝標識(赤血球型、白血球型(HLA 型)、DNA 型など)を検査し、統計学的手法を使って真の父親らしさを肯定確率から算出します。各種遺伝標識の検査法について研究しています。
  • DNA 型関係:法医学上の個人識別を各種 DNA 型を応用して行っています。その為の適切な検査法の開発研究を行っています。

エンバーミング研究グループ

遺体衛生保全(エンバーミング)とは、遺体に防腐および殺菌処置を施し、損傷がある場合はその部位の修復を行い、更に必要に応じて化粧などを行うことをいいます。現在わが国では一部の葬儀会社でエンバーミングが行われていますが、病院等では殆ど行われておりません。平成15年に警察庁は、遺族感情に配慮し、司法解剖に付された犯罪被害者の遺体修復に対する補助金の交付を制度化しました。その事を踏まえ、我々のグループは、このエンバーミングを法医解剖にいち早く導入しました。解剖後の御遺体にエンバーミングを施すことで消毒、殺菌がなされ、腐敗を防ぎ、御遺族の皆様への感染を防御することができます。また、損傷が激しい御遺体は修復および化粧を行っています。それにより御遺族の皆様の悲嘆が少しでも緩和できればと願っております。

歯科法医学研究グループ

身元不明遺体の個人識別を行う方法として代表的なものに、指紋・掌紋、血液型・DNA 型、そして歯科所見によるものがあります。当教室では、歯科用デジタルレントゲン、口腔内用 CCD カメラ(口腔内視カメラ)、デジタル口腔内スキャナー、デジタルカメラ等のデジタル機器を駆使して身元不明遺体の歯科所見を記録するとともに、インターネットを活用した公開捜査の有用性について東京歯科大学、日本歯科大学とともに研究をすすめています。その一環として、現在、杏林大学のウェブサーバー上にホームページ「FOnet(Forensic Odontology Network)」を開設し、さらに全国の警察協力歯科医師、各医科・歯科系大学に所属する歯科医師らをメンバーとするメーリングリスト「f-odont」を運用しています。ホームページ上では、警察などからの依頼による公開捜査にも積極的に協力しています。

アルコール研究グループ

アルコール代謝において、糖尿病治療薬(インスリン非依存)のスルホニル尿素系薬物は、ジスルフィラム-アルコール反応を有すると言われており、クロルプロパミド(chlorpropamide)は ALDH inhibitor として知られています。このスルホニル尿素系薬物の第一世代から第三世代までの薬物について動物実験を行い、第一世代の薬物にクロルプロパミドと同様の効果があることを確認しました。現在は、実際に糖尿病となったラット(糖尿病モデルラット: GK/Jcl)を実験動物として用い、非糖尿病モデルラット(正常ラット)とアルコール代謝に相違があるか、さらに、スルホニル尿素系薬物投与によって相違があるかなどの研究を日本大学と共同で行っています。

大学院生の指導方針

興味があることを見出し、それについて探求する。それに際して、自分で考え、答えを導きだし、更に応用できることを目指す。

最近の大学院生の研究テーマの例

「ORP150 免疫染色を用いた法医診断への応用」

現在の大学院生数

1名

大学院生の声

私は初期臨床研修を終え、社会人大学院制度を利用して大学院に入学しました。現在は法医学教室の一員として実務を行いながら、大学院生としての研究を行っています。

実務としては、北多摩地区における年間約400件の司法解剖・行政(承諾)解剖を行っています。解剖件数は増加の一途をたどっており、近年では孤独死・孤立死、医療過誤疑い死が増えているように感じます。また、解剖以外の実務として、犯罪被害者や加害者の生体鑑定を行うこともあります。研究としては、効率よい法医診断の研究、虐待防止対策、災害対策などの検討を行っています。

当教室は、解剖件数や経験できる事例が多く、このような環境で研究を続けて経験を積むことで、法医診断の精度を高めて社会に還元できるようになればと思っています。

近年の主な業績

  1. 氣賀澤秀明,吉田昌記,廣川達也,高篠 智,王 璐,北村 修:C型慢性肝炎の患者が糖尿病の急激な増悪を呈した1剖検例,法医学の実際と研究59:61-64,2016.
  2. 吉田昌記,高篠 智,山田千歩,須藤孝子,岩楯桜子,高木徹也,佐藤喜宣:法医解剖後の遺体修復の試み‐頭蓋冠の固定および頭蓋骨の間隙充填‐,法医学の実際と研究56:243-246,2013.
  3. 高篠 智,宮木孝昌,灰塚嘉典,天野カオリ,佐藤喜宣,松村譲兒:下腿の長趾屈筋と足底方形筋の両側性変異について,形態科学 16 (1):33-38,2013.
  4. 佐藤喜宣:虐待症候群‐子ども虐待と臨床法医学からのアプローチ‐,犯罪学雑誌 77:165-171,2011.
  5. 佐藤喜宣:児童虐待死亡例の検討‐法医学の視点から,小児科診療 74 (10):1531-1535,2011.
  6. 高木徹也,佐藤喜宣:死に至る児童虐待,小児科 51:125-133,2010.
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