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Faculty of Medicine英語学教室

教室専任教員

教授
准教授
講師

教室概要

専任教員は黒田航 (Kuroda, Kow) 准教授とFayyaz Ahmad Khan講師とColin Iain Cameronの3名だが,彼らの他に専任でない講師が3名おり,毎年6,7名の教員が連携しつつ医学部の英語教育を担当している.

教育の特色

杏林大学医学部の英語教育には次の特徴がある.

  1. 1年生から4年生の全学年で,学習者の目的と実力を考慮し,A, B, C, D の4つのクラスに分けて実施している (可能な限りのクラス小規模化の実現).A, B, C, D の指導方針は次の通り (A, D の定員は20名程度,B, C の定員は40名程度):
    • a. Aクラスは医師免許を持ったイギリス人教員 (Khan, F. A.) が担当し,日本語を使わない授業を実施する.そのため,相当の実力が要求される.
    • b. B, CクラスはA, D を除いた学生 (約80名) を実力に応じて2分したもの.2クラスを構成するのは,クラス内の実力差を小さくし,学習効率を高めるため.
    • c. D クラスは日本人教員が担当する,英語が得意でないと自己申告した学生を対象とするクラス.
    • d. A, D はクラスの性質上,1人の教員が通年で担当するが,B, C は教育機会の公平化のために,2名の担当教員が半期で交代する (通常,実力の分布の山がBとCの境界域に重なるため,B, C の学生に質的に異なる指導をするべきでないという方針でそうしている)
    • e. B, C に関してはM1, M2 とM3, M4 で教員の構成が異なる.医学の専門教育が始まっていないM1, M2 のB, Cはイギリス人講師 (Cameron, Colin Iain) が担当に入るが,M3, M4 のB, Cは彼に代わって日本人講師が担当に入り,医学英語に特化した指導を行う.
  2. どのクラスの授業も単なる講義ではなく,課題を中心にした指導 (task-based learning) の形を取る.英語は本質的に実技なので,講師が講義するのを聞いているだけでは,何も身につかないという学習科学の知見に基づいている.
  3. それぞれの学年に4名いる担当教員は,互いがやりたいことを勝手にやっているのではなく,連携が取られている.また,学生の成績評価もクラス間の不公平をなくすように,調整されている.
  4. 杏林大学の英語教育は,医学に特化しない一般英語 (English for General Purposes) の指導と専門に特化した英語 English for Specific Purposes(いわゆる医学英語)との最適混合を目指している.理由は2つある.
    • (ア)第一に,当大学では英語を必修科目として学ぶ期間が,医学部1年生 (M1) から4年生 (M4) までの4年間と,長い,そのため,M1とM2の短期間に,医学の専門知識を学んでいない状態で医学英語を学ぶ必要がない (医学の基礎を専門的に学ぶ前に,形だけ医学英語を学んでも忘れるだけで,後で再び医学英語を学び直すのは,学生にとっても指導する教員にとっても時間と労力の浪費になる).
    • (イ)第二に,医学部での英語の授業は,人文社会系の教養科目としての機能も兼備していると理解している.実際,私立大学の医学部の場合,学生が人文社会系の知識を得る機会は英語を除けば0に等しく,医学部の英語教育を医学英語教育に特化させる事は,学生が社会人として働き始めた時に必要とする諸々の常識や知識を学生の間に学ぶ機会を奪う結果になる.

以上の特徴を持つ本学の英語教育は,他大学の医学部では類を見ないものとなっている.

社会的活動

黒田航准教授は言語処理学会の学会実行委員を何度か,認知科学会の学会誌『認知科学』の編集委員を何度か務めた.

研究テーマ

教室全体に統一的な研究テーマはない.3名の所属教員の専門研究分野は次の通り:

黒田航准教授は認知科学 Cognitive Scienceが専門であり,その分野で言語学と学習科学,自然言語処理 (機械学習 Machine Learningを含む) の研究をしている.その延長として「医学部生のための Machine Learning 入門」を自由参加プログラムとして本学の学生向けに開講している(因みに本講座の2021年度の受講生の一人が令和3年度東京都医師会医学生懸賞論文に応募し,Student Doctor プラタナス大賞を獲得した).

Ayyaz F. Khan講師はスポーツ医学 Sports Medicine を研究している.その延長として「スポーツ医学入門」を自由参加プログラムとして本学の学生向けに開講している.

Colin I. Cameron 講師は英語教育を専門としている.医学部と外国語学部でEnglish Salon を担当している.

近年の主な業績

  1. Khan F A, Ohtani M, Tanaka R, Fujii H: Musculoskeletal Ultrasound – Part 1 [VR Clinical Training]. Kyorin University Hospital / JollyGood Japan. https://jollygood.co.jp/. March 29. 2024.
  2. Kuroda, Kow: Finding structure in spelling and pronunciation using Latent Dirichlet Allocation. 言語処理学会第30回年次大会発表論文集, pp. 149–54.
  3. 黒田 航, 相良 かおる, 東条 佳奈, 麻 子軒, 西嶋 佑太郎, 山崎 誠: LDAを使った専門用語の教師なしクラスタリング. 言語処理学会第30回年次大会発表論文集, pp. 2858–63.
  4. 黒田 航: 英単語の綴りと発音のズレの定量的評価. 認知科学会第40回年次大会発表論文集, pp. 644–47.
  5. 黒田 航, 相良 かおる, 東条 佳奈, 麻 子軒, 西嶋 佑太郎 and 山崎 誠 (2023). 要素の重複と不連続性を扱える抽出型の語構成要素解析: 並列分散型形態素解析の提案. 言語処理学会第29回年次大会発表論文集, pp. 772–77. [委員特別賞受賞]
  6. Kuroda, Kow, Hikaru Yokono, Keiga Abe, Tomoyuki Tsuchiya, Yoshihiko Asao, Yuichiro Kobayashi, Toshiyuki Kanamaru, and Takumi Tagawa (2022). How nearly random mutations to sentence affect their acceptabilities: Preliminary quantitative analyses based on ARDJ data. In Proceeding of the 28th Annual Meeting of the Association for Natural Language Processing, pp. 435-41.
  7. Cameron, Colin I. Up, up and away. Proceedings of the 24th Annual Temple University Japan Campus Applied Linguistics Colloquium, pp. 1–5.
  8. 黒田 航 & 相良かおる (2022). 医療用語の is-a オントロジー構築の FCA を使った効率化. 言語処理学会第28回年次大会発表論文集, pp. 705-709.
  9. 黒田 航, 阿部 慶賀, 粟津 俊二, 寺井 あすか, & 土屋 智行 (2021). ARDJ の刺激文の読み時間の回帰木解析を使った要因分析. In 日本認知科学会第38回大会発表論文集, pp. 510–19.
  10. Kuroda, Kow, Hikaru, Yokono, Keiga Abe, Tomoyuki Tsuchiya, Yoshihiko Asao, Yuichiro Kobayashi, Toshiyuki Kanamaru, & Takumi Tagawa (2021). Simulating acceptability judgments using ARDJ data. In Proceeding of the 27th Annual Meeting of the Association for Natural Language Processing, pp. 739-43.
  11. Cameron, Colin I. How was your class? A satisfaction questionnaire. Proceedings of the 22nd Annual Temple University Japan Campus Applied Linguistics Colloquium, pp. 78–86.
  12. Kuroda, Kow (2020). Reassessing PCA of Acceptability Rating Data for Japanese (ARDJ) using kernel multivariate analysis. In Proceeding of the 26th Annual Meeting of the Association for Natural Language Processing, pp. 1523-26.
  13. Kuroda, Kow, Hikaru Yokono, Keiga Abe, Tomoyuki Tsuchiya, Yoshihiko Asao, Yuichiro Kobayashi, Toshiyuki Kanamaru, & Takumi Tagawa (2019). Insights from a large scale web survey for Acceptability Rating Data for Japanese (ARDJ) project. In Proceeding of the 25th Annual Meeting of the Association for Natural Language Processing, pp. 253–56.
  14. Kuroda, Kow, Hikaru Yokono, Keiga Abe, Tomoyuki Tsuchiya, Yoshihiko Asao, Yuichiro Kobayashi, Toshiyuki Kanamaru, & Takumi Tagawa (2018). Development of Acceptability Rating Data of Japanese (ARDJ): An Initial Report. In Proceeding of the 24th Annual Meeting of the Association for Natural Language Processing, pp. 65–68.
  15. 黒田 航 (2018). 意味の社会性を意識した動詞の分類とその理論的含意. In 認知科学会第35回大会発表論文集, pp. 602–11.

日本語の解説・書籍など

  1. 黒田 航. 小学英語の学び方. 日栄社. 2022.
  2. 黒田 航 (2011). 理工系の学生のための聞き取り訓練: 英語の授業で The Feynman Lectures を仮想受講する. In 日本英語教育学会第 41 回年次研究集会論文集, pp. 15–26.
  3. 黒田 航 (2011). 日本の英語教育から “人文系バイアス” を取り除け: 理工系の (エリート) 学生育成のための英語教育に向けて. In 日本英語教育学会公開研究会『理工系英語教育を考える』論文集, pp. 11–27.