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消化器内科が対象とする臓器は上下部消化管、肝臓、胆道系、膵臓と最も多く、疾患もcommon diseaseから癌をはじめとする悪性腫瘍、炎症性腸疾患などの難治性慢性炎症性疾患など多岐にわたります。さらに消化管出血や急性胆道感染症など緊急対応を必要とする急性期疾患も多いのが特徴です。当科は、各分野に専門医を揃えレベルの高い診療を行うとともに、救急科とも連携し地域の基幹病院としての消化器領域の緊急対応に力を入れています。また腫瘍内科との連携を強化し癌に対する化学療法も行っています。
学部教育においては、医学知識はもちろんのこと、将来にわたる医師としての基礎を築くことが重要であると考えています。特に、臨床実習においては医療チームの一員として主体的に診療、学習に参加することを期待します。
病診連携を基本に、多摩地区の基幹病院として地域医師会や病院勤務医あるいは実地医家の先生方との密接な関係を構築すべく各種講演会、研究会などを開催しております。また、2019年には炎症性腸疾患包括医療センターが設立され、教育・地域連携を目的としたウェブサイトも開設しております。
消化器内科は幅広い臓器を診療対象としています。当教室では、肝疾患班、胆膵班、消化管治療班、小腸大腸班、ヘリコバクター研究班の5つの専門グループを構成しております。それぞれの疾患ベースのグループが診療・研究に高い専門性を発揮するとともに、横断的に患者様ベースの治療にあたることができる体制となっています。以下に各グループを紹介いたします。研究内容の詳細は大学院HPをご参照ください。
各種肝疾患の腹部超音波検査による診断に以前より力を入れており、さらに慢性肝疾患の肝線維化の進展度を推測するために超音波エラストグラフィを用いて肝硬度や脂肪化の測定を行うことで、診断・治療への有用性を評価しています。また、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の平成31年度「臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究事業」として「超音波デジタル画像のナショナルデータベース構築と人工知能支援型超音波診断システム開発に関する研究」の参加施設となっています。当科の特徴として、腹腔鏡下肝生検、肝癌に対する超音波ガイド下ラジオ波焼灼療法(RFA)、放射線科と連携した肝動脈化学塞栓療法(TACE)、腫瘍内科と連携した分子標的薬による治療を可能とする包括的な治療体制、多数のB型慢性肝疾患・C型慢性肝疾患に対する抗ウイルス治療経験例などが挙げられ、これらの特徴を生かしたアプローチから肝臓病学の発展に貢献することを目指しています。
ピロリ菌除菌が広く行われる一方、除菌難渋例や薬剤アレルギーで除菌が出来ない症例も存在します。当科では、以前よりピロリ除菌の専門施設として三次除菌以降、さらにペニシリンを用いない除菌についての治療を行い、日本トップクラスの好成績を得ています。そのため多摩地区のみならず、広範囲の施設より除菌治療の紹介をお受けし、多くの患者様に喜んで頂いております。さらに、2021年に徳永健吾准教授がHelicobacter suisについての世界初の報告を行い、今後、ピロリ菌以外の細菌が関与すると考えられてきた胃MALTリンパ腫や胃潰瘍の解明、および治療が大きく発展する可能性が開かれました。当科でも、臨床への還元を目指して精力的に研究を進めてまいります。
2019年より杏林大学医学部付属病院炎症性腸疾患包括医療センター(Interdisciplinary Center for Inflammatory Bowel Disease: ICIBD)が設立され、西東京・多摩地区のIBD診療における基幹医療施設の役割を果たしています。同センターでは、患者様を中心とした他職種によるチーム医療を推進し、さらなる診療・研究体制の充実を図っています。当科におけるカプセル内視鏡、ダブルバルーン内視鏡検査については近隣医療機関からの検査依頼も多くいただいております。診療面での貢献に加え、炎症性腸疾患、下部消化管疾患についての知見を深め、臨床に還元できるエビデンスを創出、発信することが、ハイボリュームセンターの責務と考えております。炎症性腸疾患治療薬の使用の最適化、低侵襲腸管検査方法の確立などの臨床研究を進めており、腸管エコー検査は炎症性腸疾患診療ですでに活用されています。さらに、腸内微生物叢と宿主の健康・疾患の関連に着目したトランスレーショナル研究を行っています。
消化管治療内視鏡班は、上部および下部消化管領域の主に腫瘍に対する内視鏡診断と治療を行っています。上部消化管内視鏡検査では精密内視鏡検査による診断を行い、内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などの患者様へ負担の少ない治療を行っています。また2014年1月より大腸腫瘍に対するESDを導入し、多くの患者様をご紹介いただいております。また消化管出血に対する止血術や狭窄に対する拡張術やステント留置術も行っております。さらに安全で高いレベルの内視鏡診断および治療を患者様に提供すべく、日々臨床データの集積を行うとともに、高度な診療・治療技術を普及するための教育システム、デバイス開発を目指しております。
地域の基幹病院として24時間体制で内視鏡的胆道ドレナージ術や経皮胆管ドレナージ・胆嚢ドレナージ術などの緊急処置に対応するとともに、他診療科、関連各部署と綿密な協力体制を形成して診療にあたっています。定期的に胆膵疾患カンファレンスを開催することにより、情報のアップデート、技術の向上に努めています。臨床研究も患者さんのご協力の元、数多く行っており、今後も、より安全で高いレベルの治療法の確立を目指し、日々臨床データの集積や臨床研究を行い、より良い医療を提供していきます。