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リハビリテーション医学教室

教室専任教員

教授 山田 深
講師 田代 祥一

教室概要

リハビリ医学は近現代以降に確立された比較的新しい医学の分野であり、杏林大学では平成14年11月に教室が開講されました。リハビリ医学は単独の組織や臓器に囚われることなく、広い視野から人間の心身機能、日常の活動、社会参加という、いわゆる生活機能を評価し、問題点の解決を図るための実学です。その根底は"dismobility(動けなくなること)"への対応にあり、筋骨格系の障害に加え、運動麻痺や感覚障害、小脳失調症などによる運動制御の問題、心肺系などの内部障害による運動制限、さらには高次脳機能障害による運動・行為の異常を専門に扱います。疾患としては脳卒中、脳腫瘍、脳・脊髄損傷、神経筋疾患、関節リウマチを含む骨関節疾患や肢切断、脳性麻痺を中心とした発達障害などが主な対象になります。

当教室の臨床研修では、大学付属病院で基本的な諸療法を理解するとともに、療法処方と主な技術の修得を行い、連携施設でリハビリ科としての入院診療に携わります。専門技術としては、筋電図検査、 嚥下機能検査、膀胱機能検査、神経筋ブロックなどが挙げられます。臨床研究としては、脳卒中患者における身体機能の回復や歩行能力の獲得、日常生活動作の自立に資するためのデータベースの構築などに取り組んでいます。特に脳卒中センターにおける活動は、急性期リハビリとして全国的に評価されています。基礎研究の分野では運動学に基づく神経生理に焦点をあて、再生医療や宇宙医学研究の分野にまで幅広く関わっているほか、世界保健機関(WHO)が推奨する国際生活機能分類の普及促進へ向けた活動にも携わっています。

研究課題

リハビリのアウトカムスタディ

脳卒中の発症超急性期から回復期リハビリのゴールを見通して積極的介入を行うプログラムを考案し、リハビリ効果の医療統計学的検証を進めています。また、国際生活機能分類(ICF)の臨床応用にも取り組んでいます。麻痺や高次脳機能と日常生活動作、起居/歩行動作との関連についても急性期病院ならではの研究を進めています。

廃用症候群

高齢化社会を迎え、種々の疾患による廃用症候群に焦点があたり、最近では筋肉減少症(サルコペニア)といった新しい概念も提起されるようになりました。有人宇宙開発分野における重力と廃用の関係も研究テーマの一つです。筋力の増強に加えて心肺機能を高めるための"concurrent training"をどのように効果的に行っていくのかを実践的に考えています。

経頭蓋交流電気刺激(TACS)の脳卒中機能回復に与える影響

TACSは、頭皮上に貼った電極から弱い交流電流を脳に加える治療法で非侵襲的脳刺激法に分類されます。交流電流の周波数に応じて脳活動の状態を変遷させる作用があり、運動ニューロンの活動を直接高める、機能訓練の学習効率や定着を改善させる、といった効果が期待されています。

脊髄損傷モデル動物に対する神経前駆細胞移植とリハビリ慶應義塾大学との共同研究

脊髄損傷後の急性期・亜急性期では神経前駆細胞の移植単独による運動機能回復が得られますが、慢性期になると移植単独では効果が得られなくなります。しかしここでリハビリを加えることで、運動によって分泌されてくる神経栄養因子や無秩序に再生してくる新生線維の再編を通じて有意な機能回復が認められてきます。臨床応用へ向けて、詳しき序の検討や薬剤を加えたさらなる併用療法の効果などを研究しています。


近年の主な業績

  1. Tashiro S, Siebner HR, Charalampaki A, Göksu C, Saturnino GB, Thielscher A, Tomasevic L: Probing EEG activity in the targeted cortex after focal transcranial electrical stimulation. Brain stimul. 13: 815-818, 2020.
  2. 山田深: 宇宙飛行士の地球帰還後リハビリテーションの実際. 整形・災害外科62: 705-712, 2019.
  3. Tashiro S, Kawakami M, Oka A, Liu F, Nishimura A, Ogawa C, Hagai F, Yamamoto S, Yazawa M, Liu M: Estimating nutrition intake status of community-dwelling elderly people requiring care in disaster settings: A preliminary cross-sectional survey. J Rehabil Med 51: 312-316, 2019.
  4. 増田 暁史: 脳腫瘍 化学療法・放射線療法と運動療法. Jpn J Rehabil Med 56(8): 618-622, 2019
  5. 藤井浩優, 山田 深: 急性期・高密度型脳卒中リハビリテーションの有効性 最近公表されたAVERT研究結果の概要およびその評価.総合リハ45 (2): 103-108, 2017.
倫理委員会・利益相反
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