大学ホーム医学研究科教育・研究指導研究室・研究グループ腎臓・リウマチ膠原病内科学教室

研究室・研究グループ紹介:腎臓・リウマチ膠原病内科学教室

当教室は腎臓病学とリウマチ膠原病学を2つの柱にしています。

腎臓病学は原発性糸球体疾患、膠原病・血管炎や糖尿病に伴う二次性腎疾患の発症機序、診断法、治療法に関する研究・臨床を行っています。特にANCA 関連血管炎・腎炎とループス腎炎の研究に関しては伝統があり、症例が蓄積されています。腎炎の発症メカニズムに関する基礎研究、ANCA関連血管炎におけるNETsの役割に関する研究、慢性腎臓病(CKD)の重症化予防や末期腎不全の病態に関する臨床研究も行っています。リウマチ膠原病学では、関節リウマチを始めとして、各種膠原病全身性血管炎の早期診断法や最新の治療法に関して研究しています。乾癬性関節炎の臨床研究も行っています。

腎臓は他臓器の影響を受けやすい臓器で、しばしば全身疾患の標的となりますが、逆に腎臓は全身の諸臓器と連関するため、CKDでは全身にさまざまな症状があらわれます。一方、リウマチ膠原病は全身疾患であり、腎臓をはじめ多彩な臓器病変を呈します。その意味では腎臓病とリウマチ膠原病は対極にありながら密接に関連しており、双方を平行して学ぶことは、極めて効果的であります。

大学院

原則として、最初の2年間は病棟を受け持ち、テーマと臨床の関連を深めます。その後、指導教官と話し合い、一定期間集中して研究、論文作成にあてます。研究は杏林大学で行なう事が基本ですが、本人の希望があれば他施設で行うことも可能です。通常、4年間で学位が授与されています。

当科の代表的な研究テーマ

好中球細胞外トラップ(NETs)のANCA関連血管炎の病勢・病因との関係

好中球は周囲の細菌の除去のため、自らの核DNAと細胞質内蛋白質を細胞外へ放出することが知られており、これを好中球細胞外トラップ(NETs)と呼びます。NETsは全身性エリテマトーデスなど種々の膠原病で病気の原因に関与することがわかってきており、ANCA関連血管炎においても同様に病因に深くかかわっていることが知られています。我々は、これらがどのように実際の患者さんの腎障害を引き起こしているのか、どのようにNETsの過剰な産生を抑えることにより血管炎そのものの制御をすることができるのかを、患者さんの好中球を使って解析を進めています。またNETsのコントロールにより病気の治療に結び付けられないか、さらにNETsをたくさん放出する特殊な白血球と血管炎との関係などについても研究しています。

ANCA関連血管炎に関する臨床研究

ANCA関連血管炎の臨床・研究分野において草分け的な存在としてきた伝統があります。厚労省難治性血管炎班およびAMED血管炎班としても、ガイドライン作成やコホート研究、国際共同研究など、多くの患者さんに貢献できるよう国内外に視野を広げて活動しています。

ANCA関連腎炎の病態形成におけるMPOの役割と新規因子の解明

我々はANCA関連腎炎の糸球体病変形成におけるMPO陽性細胞と細胞外MPOの役割を検討して来ました(Clin Nephrol 2013)。現在、腎生検組織のプロテオミクス解析を通じて、腎炎の初期および完成期に関与する病態関連因子の発見を試みています。

慢性腎臓病の重症化予防における多職種連携の効果に関する臨床研究

厚労省研究の一環として、慢性腎臓病(CKD)の重症化予防対策、チーム医療の実態把握、および多職種連携の効果に関する臨床研究を行っています。

進行性腎障害のメカニズム解明と新しい治療法の開発

腎臓病の進展には共通のメカニズムと疾患特有のメカニズムの両者が関与します。ループス腎炎や虚血再灌流(AKI)などさまざまな腎疾患モデルを用い、標的分子と治療法の解明を目指した研究を行っています。ターゲットとしては、さまざまなサイトカインやシグナル因子、ないし炎症・免疫担当細胞などが挙げられます。

自然免疫・炎症を標的とした慢性腎臓病・急性腎障害の病態解明と新規治療の開発

慢性腎臓病の腎機能障害はある閾値を超えると進行が不可逆になり、透析などの腎代替療法が必要な状態に至ってしまいます。また、急性腎障害は慢性腎臓病の原因かつ増悪因子です。これらを克服するために、自然免疫・炎症を標的とした慢性腎臓病・急性腎障害の新規治療の開発を目指す研究をしています。免疫はマクロファージや好中球を中心とする自然免疫とT細胞・B細胞を中心とする獲得免疫に大別されます。慢性腎臓病進行の病態の中心は、尿細管間質の自然免疫と無菌性炎症です。線維化も慢性炎症の一部になります。この炎症は、マクロファージなどの炎症細胞はもちろん、炎症のきっかけとなる尿細管細胞障害や、炎症細胞とともに間質に存在する線維芽細胞などが複雑なクロストークを形成することで成立しています。そのような視点から、コンディショナルノックアウトマウスや培養細胞を用いた基礎的な研究を行い、病態解明を目指しています。

補体関連遺伝子異常の臨床病態的研究

近年、SLEなどの膠原病における血栓性微小血管症(TMA)合併の患者の中に補体制御因子の異常による非典型HUS(aHUS)が原因と考えられる症例が散見され、これらの症例では先天的に様々な補体や補体関連遺伝子の欠損や変異が認められています。TMA以外にも膠原病ではしばしば補体遺伝子異常の症例がみられており、補体・補体関連遺伝子異常とその病態の関連についての検討を行っています。

不明熱におけるパターン認識レセプターの変異に関する研究

パターン認識レセプター(TLR, RLPなど)は、自然免疫の初動に関して重要な役割を果たすことが知られています。近年、不明熱の症例の中にパターン認識レセプターの変異やインフラマソーム関連分子の異常を有する様々な症例が同定されてきています。これらの中には、レアバリアントでありながら、機能解析が多く行われていない場合も多く、これら新規遺伝子異常についてNF-κBレポーター・アッセイなどの細胞生物学的なアプローチによって機能解析と臨床症状の関連についての研究を行っています。

尿酸代謝異常症の遺伝的背景とCKD進展メカニズムに関する研究

従来、腎排泄低下か産生亢進によって定義されてきた高尿酸血症は近年の輸送担体とその遺伝子異常の研究の進展をうけて、さらに腸管再吸収亢進型や混合型など多くのフェノタイプに分類されるようになってきています。とくに、若年発症の高尿酸血症や家族性のある尿酸高値の症例ではABCG2やUromodulin遺伝子など数々の遺伝子変異が同定されてきています。我々はこうした症例のフェノタイプの特徴を明らかにするため、遺伝子変異と臨床症例との関連を研究しています。

脊椎関節炎/関節リウマチの臨床・疫学国際共同研究

1. S(日本脊椎関節炎学会)およびAPLAR (アジア環太平洋リウマチ学会) 脊椎関節炎(SpA)レジストリーの構築

強直性脊椎炎、乾癬性関節炎に代表される脊椎関節炎(Spondyloarthritis: SpA)は複数の疾患の総称であり、臨床型として、脊椎(体軸:Axial SpA)症状、末梢関節炎、腱付着部症、関節外症状(例、ぶどう膜炎、乾癬、炎症性腸疾患)など多岐にわたり、国際脊椎関節炎評価学会(Assessment of SpondyloArthritis International Society:ASAS)は、症状横断的な患者分類基準(体軸性または末梢性SpA)を提案しています。SpAの様々な末梢病変については、これまでにその特徴が説明されていますが、未だその詳細は解明されていません。日本脊椎関節炎学会(JSAS)・厚労省研究班で主導するSpAの全国疫学研究の補助、および新規にはじまっているAPLARの参加国SpAレジストリー構築のコアメンバーとして研究を行っていきます。

2. S主導臨床研究

強直性脊椎炎・脊椎関節炎の国際研究学会であるASASのメンバーとして、SpAの併存症・合併症の横断研究としてのASAS COMOSPA研究、SpAの末梢関節病変等の横断研究としてのASAS PerSPA研究のデータ解析を行っています。

3. 関節炎研究

乾癬・乾癬性関節炎の国際グループであるGRAPPAのメンバーとしてGRAPPA治療推奨の構築に貢献しています。

4. (掌蹠膿疱症性骨関節炎)研究

PsAのスクリーニングツールであるPESTをSAPHO症候群/PAO用にmodified したmPESTのvalidation研究をイスラエル(Tel Aviv大学)とイギリス(リーズ大学)と開始し、厚労省研究班主導PAOの全国疫学研究の補助とデータ解析を行っています。

5. RONA Japan Rheumatoid Arthritis (RA) Registry研究

全米で約2万人のRA患者さんのデータを蓄積している前向レジストリー研究であるCORRONA registry(USA)を2016年から日本でもCORRONA-Jとして開始し、現在全国約40施設にご協力いただき約2000人の患者さんのデータを蓄積しています。

近年の主な業績

  1. Two distinct subsets of LDGs (low density granulocytes) in ANCA-associated vasculitis.  Endo A, Komagata Y, Yamagishi K, Kawashima S, Arimura Y, and Kaname S. Mod Rheumatol. 2021 Apr 25;1-25. doi: 10.1080/14397595.2021.1918883.
  2. Wei JC, Kim TH, Kishimoto M, Ogusu N, Jeong H, Kobayashi S; 4827-006 study group: Efficacy and safety of brodalumab, an anti-IL17RA monoclonal antibody, in patients with axial spondyloarthritis: 16-week results from a randomised, placebo-controlled, phase 3 trial. Ann Rheum Dis, online published on Apr 7, 2021.
  3. McInnes IB, Anderson JK, Magrey M, Merola JF, Liu Y, Kishimoto M, Jeka S, Pacheco-Tena C, Wang X, Chen L, Zueger P, Liu J, Pangan AL, Behrens F: Trial of upadacitinib and adalimumab for psoriatic arthritis. N Engl J Med 384(13):1227-1239, 2021.
  4. 要伸也、駒形嘉紀、他(分担執筆):抗リン脂質抗体症候群・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症・結節性多発動脈炎・リウマトイド血管炎の治療の手引き2020. 針谷正祥編集. 診断と治療社. 2021.
  5. 要 伸也、他: 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等克服研究事業(難治性疾患克服研究事業)「難治性腎疾患に関する調査研究」: 急速進行性腎炎症候群診療ガイドライン2020, 東京医学社, 2020.
  6. Rituximab as therapy to induce remission after relapse in ANCA-associated vasculitis. Smith RM, Jones RB, Specks U, Bond S, Nodale M, Aljayyousi R, Andrews J, Bruchfeld A, Camilleri B, Carette S, Cheung CK, Derebail V, Doulton T, Forbess L, Fujimoto S, Furuta S, Gewurz-Singer O, Harper L, Ito-Ihara T, Khalidi N, Klocke R, Koening C, Komagata Y, et al. RITAZAREM coinvestigators; Ann Rheum Dis. 79:1243-1249, 2020.
  7. 岸本暢将(分担執筆):C末梢性脊椎関節炎.乾癬性関節炎. 日本脊椎関節炎学会編. 脊椎関節炎診療の手引き, 東京, 診断と治療社, 2020年7月21日. p.62-71.
  8. Fukuoka K, Miyamoto A, Ozawa Y, Ikegaya N, Maesono T, Komagata Y, Kaname S, Arimura Y. Adult-onset Still's disease-like manifestation accompanying cancer recurrence after long-term remission. Mod Rheumatol 29:704-707, 2019.
  9. Akimoto Y, Yan K, Miura Y, Tsumoto H, Toda T, Fukutomi T, Sugahara D, Kudo A, Arai T, Chiba Y, Kaname S, et al. O-GlcN acylation and phosphorylation of β-actin serine199 in diabetic nephropathy. Am J Physiol Renal Physiol 317:F1359-F1374, 2019.
  10. van der Hejide, Song IH, Pangan A, Deodhar A, Van den Bosch F, Maksymowych WP, Kim TH, Kishimoto M, Everding A, Sui Y, Wang X, Chu AD, Sieper J: Efficacy and safety of upadacitinib in patients with active ankylosing spondylitis (SELECT-AXIS 1): a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 2/3 trial. Lancet 394:2108-2117, 2019.
  11. Yakushiji H, Hashimura C, Fukuoka K, Kaji A, Miyahara H, Kaname S, Horiuchi T. A missense mutation of the plasminogen gene in hereditary angioedema with normal C1 inhibitor in Japan. Allergy 73:2244-2247, 2018.
  12. Yamanaka H, Kishimoto M, Pappas DA, Greenberg JD, Kremer JM, Tanaka Y: Design characteristics of the CORRONA Japan rheumatoid arthritis registry. Mod Rheumatol 28:95-100, 2018.
このページのトップへ

PAGE TOP