2016年4月、難治性不整脈疾患の、正確かつ迅速な診断と、より安全かつ効果的な治療法の確立を目的とした、不整脈先進治療学講座が開設されました。心室頻拍、徐脈性不整脈、心房細動、先天性心疾患に合併する治療が困難な不整脈に対して、カテーテルアブレーション及び心臓植込みデバイスによる最新の治療を、循環器内科・不整脈センターと連携して行います。
2016年以降、生理的刺激伝導系ペーシング(ヒス束ペーシング, 左脚領域ペーシング)を日本では先駆けて開始しました。2023-2024年度は左脚領域ペーシングに関する論文報告を行いました。左脚領域ペーシングの多様性と多施設共同試験における有用性の報告、国際共同調査への参加、日本心臓病学会誌に英文レビューなどを発表しています。徐脈性不整脈に対する治療に加え、心不全に対する心臓再同期療法(両室ペーシング)の代替療法として、2025年度は、バッハマン束ペーシングを加えた新たな生理的ペーシング治療法の確立を目指しています。
器質的心疾患に伴う重症心室頻拍など、他施設では治療困難であった難治性不整脈に対して心外膜アブレーションを含めた積極的治療を行っています。Multisurface pacemappingや洞調律下での心室遅延伝導部位解析に基づいた先端的なアブレーション治療、研究にも取り組んでいます。2025年、心サルコイドーシスに合併した心室頻拍の薬物療法に関して多施設共同研究を報告しました。若手医師への講義など各種講習会、Webinarを通じての教育活動も活発に行っています。
2014年、当院にて本邦第一例めのリードレスペースメーカ植込みがおこなわれました。2024年には、内頸静脈からのリードレスペースメーカ植込みを治験として行いました。心房収縮を検知して心室を刺激するリードレスペースメーカ植込みに加え、心房留置用リードレスペースメーカを併用した最新のリードレスペースメーカ治療を継続しています。植込み中のX線透視画像を解析、心室捕捉閾値を予測する因子を解明し、本邦でより安全な植込み方法確立を目指しています。
本講座には、循環器内科・不整脈センターで診療に従事してきた佐藤俊明特任教授、上田明子特任准教授と冨樫郁子特任講師が所属しています。
バイオトロニックジャパン株式会社
アボットメディカルジャパン合同会社
日本メドトロニック株式会社