講師 |
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臨床検査は、あらゆる疾患において診断や治療を行う際に必要不可欠な存在です。検体検査部門は、医療機関で行う検査全般、すなわち臨床血液、臨床化学、臨床微生物、臨床免疫、遺伝子検査、輸血検査などを担当し、これらの検査を用いた病態の評価、新しい検査項目の導入を行っています。生理機能検査部門では、超音波検査、心電図などの循環器検査、脳波などの脳神経機能検査、呼吸機能検査を担当しています。
臨床検査医学は臨床検査全般に関する教育、研究、診療を行う講座で、臨床検査医は検査のプロフェッショナルとして、検査部門の監督・運営を通じて検査の安全性と信頼性を確保すること、臨床科の医師に対して専門的立場から助言を行うこと、臨床ニーズに合致した検査の導入・更新に努めること、臨床検査を応用した病態解析や新しい臨床検査法の開発と応用を行うことが主要な業務です。
当教室では、実習・講義・見学を通して各種検査の意義と使い方を理解し、疾患相互の鑑別を進め、最終診断に達する思考能力を養うことを目標として、医学部、大学院、研修医、臨床検査技師の教育を行っています。臨床検査専門医は日本専門医機構が定める19基本領域の一つに数えられる基本的・横断的分野であり、専門医資格取得カリキュラムに従った研修プログラムを提供する施設に認定されています。
当教室の教員は、臨床検査医学に含まれる様々な分野の中で、各自がそれぞれ異なる分野を専門としており、臨床検査医学の多様な内容を広くカバーした教育を行っていることが特色です。また、以下に示した病態解明のための基礎研究、先端的検査の研究にも大きな重点を置いており、これらの研究から得られる最新の知見に基づいた教育を実施しています。
大学院生には基礎的,臨床的な研究活動を通して検査医学における独創的な研究に参画していくことが求められております。日常の臨床(検査)業務のなかで遭遇したさまざまな問題点を糸口として,より安全かつ正確な臨床検査に直接的,間接的に繋がる研究を行うことが重要であると考えます。多彩な分野をカバーしている点が検査医学の特徴でもあり,これ以外の領域に関する研究活動についても可能なかぎりの支援を行う準備があります。臨床検査医学に在籍する大学院生はまた,各自の特性や将来の展望を考慮して選択した臨床検査関連の特定の分野に関して,より高度かつより先進的な臨床活動に従事することも可能であります。このような研究,臨床活動を通して,将来の臨床検査医学分野を担う有為な人材を育てることが医学研究科,臨床検査医学教室の責務であります。
2009年に、非定型抗酸菌の新菌種であるMycobacterium kyorinense(通称“杏林菌”)を発見しました。本菌の遺伝子解析や、本菌による感染症の実態解明等の研究を継続しています。
これまで、静脈採血時の正中神経障害の防止に重要な腕の神経と血管の位置関係の検討や、神経障害防止に翼状針の使用が有効であることなどを明らかにしてきました。採血後の検体保存条件や、採血困難者に対して日常的に行われている穿刺周辺部位を温める行為や穿刺部周囲のマッサージを行うなどの行為が、採血の安全性やや検査値に与える影響について研究しています。
発がん遺伝子リスクを精密に把握し、そのリスクに基づいてがんの予防や早期発見早期治療を行う「先制医療」を目指して、発がんリスクGermline遺伝子変異診断開発の研究を行っています。
また、がんゲノム医療におけるパネル検査やがんの免疫チェックポイント阻害剤治療の効果を予測するバイオマーカー研究も行っています。
1)メタボリックシンドロームを中心とする脂質異常・糖尿病・高血圧などの生活習慣病の病勢を超音波検査により評価する研究 2)慢性肝疾患における肝障害に対する炎症関連遺伝子の影響や生理活性物質との関係に関する研究 3)脂肪酸組成と疾患発症や病勢との関係に関する研究などを行っています。
肺高血圧症の治療による心電図の経時的変化を比較し、診断や病態の評価における有用性を研究しています。
近年ナッツアレルギーなどの食物アレルギーが増加しています。当教室では、新規アレルゲン、特に、ナッツアレルゲンの同定・その診断への応用に取り組んでおり、ナッツアレルギーに対する精度の高い診断法の確立を目指しております。
未知の稀少小児免疫異常症におけるゲノムワイド解析による原因遺伝子の探索・解析により病態を明らかにすることを目指しております。