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Faculty of Medicine総合医療学教室

教室専任教員

付属病院・三鷹キャンパス

教授
教授(特任)
助教

概要

救急総合診療学グループ

救急総合診療学グループは、杏林大学医学部付属病院の1・2次救急の診療と教育を担当する診療チームです。24時間×365日にわたり12時間毎の2交代制勤務で診療を行いながら、医学生、初期研修医、後期レジデントに対してon-siteトレーニングの機会を提供しています。特に、めまい、頭痛、失神、腹痛、胸痛、発熱など、幅広い専門分野にまたがる症候を呈する患者さんについて鑑別診断を行い、初期治療を提供します。シフト終了時には全症例について振り返りカンファレンスを実施し、経験から学ぶ場としています。

診療においてはエビデンスを重視し、常に最新の医学的知見に基づく診療を行っています。また、診療を担当した患者さんにおける臨床的疑問から出発して文献を検索・抽出し、批判的に吟味するEBM Journal Clubや、画像カンファレンス、クリニカルカンファレンスを毎週行っています。

トランスレーショナル研究グループ

総合医療学教室では、医療につながる基礎研究を行うため、2023年にトランスレーショナル研究グループが設置されました。当グループでは、救急総合診療科と連携し、多剤耐性菌感染症に対するバクテリオファージを利用した治療法(ファージ療法)の開発に関する基礎的研究を進めています。ファージ療法の開発には標的とする細菌とファージの両方を解析することが必要ですが、これらに対して細菌学、生化学、分子生物学、細胞免疫学の手法を用いて研究を進めています。

教育の特色

救急総合診療学グループ

EBMに基づくon-siteトレーニング。

トランスレーショナル研究グループ

本学部で行われている「教室活動への自由参加プログラム」として以下のテーマでM1からM6の学生を受け入れています。

  1. バクテリオファージを用いた多剤耐性菌に対するファージ療法の研究
  2. 多剤耐性菌が形成するバイオフィルムの解析

これらの研究を通じて病原体などの取り扱い手技も身につけることができます。

社会的活動

救急総合診療学グループ

24時間×365日地域で発生する救急患者さんを受け入れ、地域貢献を行っています。また、行政や医師会、地域医療機関との密接な連携を行っています。

トランスレーショナル研究グループ

ファージセラピー研究会などの活動を通じて、日本におけるファージ療法の研究の活性化と促進を推進しています。

研究テーマ

総合医療学教室は、救急総合診療学グループとトランスレーショナル研究グループの2つのグループで構成されています。

救急総合診療学グループ

  1. 失神、運動・循環生理学(心機能、脳循環):失神のメカニズム研究、運動負荷時の心機能・脳循環の研究
  2. 感染症(バクテリオファージ):多剤耐性菌に対するファージ療法の研究
  3. 高齢者救急:超高齢社会における救急医療のあり方の研究

総合内科領域における臨床疫学研究、根拠に基づく医療(EBM)の普及に関する研究・教育、および、医のプロフェッショナリズムに関する研究を行っています。失神、運動・循環生理学(心機能、脳循環)、感染症(バクテリオファージ)、高齢者救急に関する論文発表・海外での学会発表等を積極的に行っています。

トランスレーショナル研究グループ

  1. ESBL産生大腸菌感染症に対するファージ療法の開発
  2. 重症感染症を引き起こすESBL産生大腸菌の遺伝型の解析
  3. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌による感染症に対するファージ投与の影響

バクテリオファージ(ファージ)は細菌に感染・増殖して溶菌を引き起こすウイルスです(図1)。100年以上前に発見されて以降、東ヨーロッパの一部の国では感染症にファージを利用した治療(ファージ療法)が行われてきました。現在の多剤耐性菌の蔓延により、ファージ療法は世界的に注目され、欧米では臨床試験が進められています。

また、感染の際、細菌は病巣でしばしばバイオフィルムを形成します。バイオフィルム中の細菌は抗菌薬に抵抗性を示すため難治性になる傾向がありますが、ファージはバイオフィルム感染症に対しても有効であることが認められています。

当教室では重症化する多剤耐性大腸菌やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の感染症に対するファージ療法の確立に向けた研究を行っています。

図1:バクテリオファージがメチシリン耐性黄色ブドウ球菌に吸着・感染して溶菌する様子

近年の主な業績

救急総合診療学グループ

  1. 長谷川浩:妊産婦における内科的救急疾患(解説).東京母性衛生学会誌39巻1号.15-21.2023年.
  2. Fukui S, Rokutanda R, Kawaai S, Suda M, Iwata F, Okada M, Kishimoto M: Current evidence and practical knowledge for ultrasound-guided procedures in rheumatology: Joint aspiration, injection, and other applications. Best Pract Res Clin Rheumatol. 2023 May 27:101832. Epub 2023 May 27. doi: 10.1016/j.berh.2023.101832.
  3. Fukui S, Shikino K, Nishizaki Y, Shimizu T, Yamamoto Y, Kobayashi H, Tokuda Y: Association between regional quota program in medical schools and practical clinical competency based on General Medicine In-Training Examination score: a nationwide cross-sectional study of resident physicians in Japan. Postgrad Med J. 2023 Oct 19;99(1177):1197-1204. 2023. doi: 10.1093/postmj/qgad059.
  4. Fukui S, Kawaai S, Sawada H, Kishimoto M: Upadacitinib for the treatment of adults with active non-radiographic axial spondyloarthritis (nr-axSpA). Expert Rev Clin Immunol. 2024 Feb;20(2):141-153. 2024. doi: 10.1080/1744666X.2023.2282696. Epub 2024 Jan 21.
  5. Fukui S, Okada M, Shinozaki T, Asano T, Nakai T, Tamaki H, Kishimoto M, Hasegawa H, Matsuda T, Marrugo J, Tedeschi SK, Choi H, Solomon DH: Changes in alcohol intake and serum urate changes: longitudinal analyses of annual medical examination database. Ann Rheum Dis. 2024 Feb 28:ard-2023-225389. Online ahead of print. 2024. doi: 10.1136/ard-2023-225389.
  6. Tomoya Suda, Tomoko Hanawa, Mayuko Tanaka, Yasunori Tanji, Kazuhiko Miyanaga, Sanae Hasegawa-Ishii, Ken Shirato, Takako Kizaki, Takeaki Matsuda:Modification of the immune response by bacteriophages alters methicillin-resistant Staphylococcus aureus infection. Sci. Reports. 2022 Sep 19;12(1):15656.doi: 10.1038/s41598-022-19922-x.2022.
  7. Fukui S, Nakai T, Kawaai S, Ikeda Y, Suda M, Nomura A, Tamaki H, Kishimoto M, Ohde S, Okada M. Advantages of an alternate-day glucocorticoid treatment strategy for the treatment of IgG4-related disease: A preliminary retrospective cohort study. Medicine (Baltimore). 2022 Sep 30; 101(39):e30932.
  8. 長谷川浩:傷病者別のポイント 高齢者の場合.救急医学 44巻13号.1836-1840.2020.
  9. 長谷川浩:【高齢者救急の諸問題】高齢者救急診療の諸問題.老年内科 1巻6号.665-676.2020.

トランスレーショナル研究グループ

  1. Moue I, Shimoda M, Kokutou H, Hanawa T, Tanaka Y.: Community-Acquired Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus Strain Positive for the Panton-Valentine Leucocidin Gene in a Middle-Aged Patient With Multiple Septic Pulmonary Emboli. Cureus. 16:e56243 (2024).
    https://doi.org/10.7759/cureus.56243
  2. Suda T, Hanawa T, Tanaka M, Tanji Y, Miyanaga K, Hasegawa-Ishii S, Shirato K, Kizaki T, Matsuda T.: Modification of the immune response by bacteriophages alters methicillin-resistant Staphylococcus aureus infection. Sci Rep. 12(1):15656 (2022). https://doi.org/10.1038/s41598-022-19922-x
  3. Fujiki J, Nakamura T, Nakamura K, Nishida K, Amano Y, Watanabe Y, Gondaira S, Usui M, Shimizu M, Miyanaga K, Watanabe S, Iwasaki T, Kiga K, Hanawa T, Higuchi H, Sawa T, Tanji Y, Tamura Y, Cui L, Iwano H. Biological properties of Staphylococcus virus ΦSA012 for phage therapy. Sci Rep 12, 21297 (2022).
    https://doi.org/10.1038/s41598-022-25352-6
  4. Hanawa T, Shimoda-Komatsu Y, Araki K, Ohyama M, Ohnishi H, Kamiya S, Matsuda T. Skin and Soft Tissue Infections Caused by Different Genotypes of PVL-Positive Community-Acquired Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus Strains. Jpn J Infect Dis. 2020 Jan 23;73(1):72-75.
    https://doi.org/10.7883/yoken.JJID.2019.162
  5. Peng, C., Hanawa, T., Azam, A.H. et al. Silviavirus phage ɸMR003 displays a broad host range against methicillin-resistant Staphylococcus aureus of human origin. Appl Microbiol Biotechnol 103, 7751–7765 (2019).
    https://doi.org/10.1007/s00253-019-10039-2