脳神経内科は、脳・脊髄・末梢神経・神経筋接合部・筋肉といった臓器に関連した多岐にわたる幅広い器質的疾患を扱う学問です。
当教室では、脳神経内科学に関する診療・教育・研究を行っています。 患者さんの立場に立った最良の診療と、脳神経内科学の正しい知識を持つ専門医の育成、神経疾患の病態解明や実践的な臨床に役立つ研究を目標としています。
脳神経内科では、頭痛・めまい・しびれ・もの忘れ(認知症)などのcommon diseaseから、てんかん・髄膜炎・脳血管障害などの神経救急疾患、変性疾患や自己免疫性疾患などの神経難病と多種多様な疾患を網羅しており、今後の日常診療においても高いニーズが見込まれる領域です。当教室では、脳神経内科の診療・研究に興味を持ち、共に向上し前進したいと考えるみなさんが仲間として加わってくれることを期待しています。
当教室では、医学部学生に対する卒前教育、および初期研修医・専修医に対する卒後教育を行っています。卒然教育においては、ヒトの神経系の基礎的な仕組みや、様々な神経疾患の診断・治療法、基本的な神経診察の手技などについて分かりやすく解説することを心がけています。
脳神経内科において、問診や診察から診断を推理していくプロセスは非常に興味深く魅力的なものです。病棟実習で実際の患者さんを診察し、臨床現場を体感することによって、そのことを実感してもらえることを目指しています。
卒後教育では、病棟チームの一員として診療に携わることで、さらに実践的な脳神経内科の知識・技能を習得することができます。
当教室では、多摩地区の基幹病院として地域の神経疾患診療に貢献することを目標に、大学所在の多摩地区における脳神経内科の臨床を中心とした研究活動の多くに参加しています。
今後も質の高い診療の提供を目指して、地区医師会や一次医療機関との連携を密にし、地域医療の充実に努めます。
脳神経内科では、頭痛・めまい・しびれ・もの忘れ(認知症)などのcommon diseaseから、てんかん・髄膜脳炎・脳血管障害・ギラン・バレー症候群などの神経救急疾患、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患、多発性硬化症や重症筋無力症などの自己免疫性疾患など対象となる疾患が多く、脳神経内科医には高度な専門的な知識が求められています。
医師として生涯にわたり診療に携わっていくには、自らが考え問題を解決していくことが大切であり、人生の一時期で研究に没頭することはその糧となります。
脳神経内科領域では、病態が難解で難治性の疾患も数多く存在しますが、近年の医学の進歩により病態の解明や治療の開発が進みつつあります。脳神経内科はやりがいのある大変興味深い、これから発展していく分野ともいえます。
脳神経内科の診療・研究に興味を持ち、共に向上し前進したいと考えるみなさんが仲間として加わってくれることを期待しています。
医局の規模が比較的小さく、一人一人にきめ細やかな指導を行うことができます。
多摩地区の基幹病院として、神経救急疾患を含めた豊富で多彩な臨床症例を経験できる条件・環境が整っています。大学院在学中の内科認定医・専門医、脳神経内科専門医(受験資格は当教室を含む認定教育施設で脳神経内科研修を3年以上)の受験も可能です。
臨床を大切にしています。大学院初期では、臨床に即した研究や症例報告の学会発表・指導などを行います。臨床の現場で直面する事象に対する独創的な発想、創造性のある思考能力を期待しており、自ら問題意識を持ち、その問題を解決することを目標とします。
大学院後半では、より専門性の高い分野の研究を行います。臨床研究では、データを収集・解析し、疫学的・文献的なアプローチを行います。生化学的研究では、基礎的な実験技術の習得後、応用的な実験プロトコールの構築を目指します。研究内容を包括的に整理し、国内または国際学会で発表し、最終的には(可能であれば英文で)論文化することを目標とします。
大学院の研修は、原則として杏林大学で行います。ただし、本人の希望があれば、他施設での研修も含めて、なるべく希望に沿う方向性を相談していきます。
通常、4年間で学位が授与されます。
免疫性末梢神経疾患であるギラン・バレー症候群の血清学的診断マーカーである抗ガングリオシド抗体(図A)を教室内で測定しています。このため早期の診断確定、治療開始が可能です。また、ギラン・バレー症候群の臨床経過と抗ガングリオシド抗体の経時変化、抗ガングリオシド抗体のfine specificityの検討、ギラン・バレー症候群への補体経路の関与などの研究を行っています。
免疫学的機序が想定される神経疾患に関して、生化学的なアプローチによる新規自己抗体の検出を行っています。現在までに、感染後小脳失調症における抗TPI抗体や一時進行型多発性硬化症(PPMS)における抗シナプシン抗体の出現を報告し、その病態への関わりに関して研究を進めています。
傍腫瘍性神経症候群でみられるHuD, Yo, Ri, CV2 (CRMP5), Ma1, Ma2, Amphiphysinに対する抗体を測定しています。日本全国から検査の依頼を受け付けており、多数症例の検討の実績があります。
上記にあげた項目以外でも、変性疾患・炎症性疾患・遺伝性疾患など脳神経内科領域の多岐にわたる疾患を経験することができ、個人の希望に応じて臨床遺伝的なアプローチや神経筋電気診断学的なアプローチから研究を進めることなども可能です。
針筋電図、神経伝導検査(図B)、体性感覚誘発電位(SEP)などの電気生理学的検査法を用いて、神経疾患の診断や病状評価を行う分野を神経筋電気診断学といいます。
日本臨床神経生理学会認定医である大石助教を中心に、臨床に即した実践的な検査・診断技術を学ぶことが可能です。
眼球の運動は脳によって制御されているため、眼球運動の異常を検出することは脳の病気の診断に役立つ可能性があります。病態生理学教室の寺尾教授との連携により、神経疾患と眼球運動の関わりについての研究を行っています(図C)。
神経分子遺伝学の発展はめざましく、近年、遺伝性神経筋疾患の原因遺伝子が次々と同定され、核酸医薬などの分子機序に基づく新しい治療法も開発されています。当教室では、診療で見出した遺伝性神経筋疾患について、臨床・分子遺伝学的アプローチによる診断・研究を行っています。これまでも、東京大学脳神経内科との共同研究において、次世代シークエンサーを用いた大規模ゲノム解析を行い、遺伝性神経疾患の新しい疾患遺伝子・遺伝子変異を同定しています(図D)。
現在,大学院生として外来や病棟の診療を行いつつ研究に従事しています.研究内容は,病態生理学教室と共同で,視線解析や磁気刺激などに関する研究を行っています.病棟や外来で様々な神経疾患の患者さんを診療しつつ基礎的な実験も行えており,臨床の研鑽と研究を両立できるのが,当科大学院の魅力だと思います.(上月直樹)