呼吸器内科では、学部学生も研修医も「疑問や問題点を見出す」こと、そこを出発点とするProblem Oriented型の姿勢で臨みます。その解決プロセスから、Evidence Based Medicine (EBM)に立脚しつつ、患者一人一人の違いにも対応できる柔軟な姿勢を学びます。臨床においては、現場(病棟・外来)で考える(病院紹介参照)、研究発表においても、現場(学会・研究会)で討論することを重視しています。
2017年度学会参加実績は、国際学会はAmerican Thoracic Society (Washington, DC)、European Respiratory Society (Milan)、Asian Pacific Society of Respirology (APSR)(Sydney)などで、国内学会も呼吸器学会、感染症学会、肺癌学会、アレルギー学会、内科学会を主として参加しております。また地方会、研究会でも多数の報告・発表を行っています。
肺癌、慢性呼吸不全、喘息など患者の方々のQOL向上のため、地域医療機関と積極的に連携しています。また、地域の医家の方々、患者の皆さまとともに最先端の医学を勉強する機会を積極的に作り、高い医学水準での共通した診療目標を持つようにしております。
当科では総合診療が医師の基本であるとの立場から、総合診療およびその教育に力を入れております。こ呼吸器病学にとらわれず、いわゆるcommon diseaseや胸部以外の症状にも興味を持って積極的に学んでおります。のため、外部講師を招聘し勉強会を開催したり、総合診療の研究会に出席したりする機会を作っています。また成果も学会誌等に報告しております。
肺炎診療は、日本呼吸器学会「市中肺炎の診断・治療のガイドライン」「成人院内肺炎診療ガイドライン」に基づいた診療を行っています。さらに、患者さん一人一人の診察と観察から生じてくる市中肺炎の臨床的な問題点の抽出とデータの収集・解析、解決を行っています。市中肺炎や慢性気道感染症の病態の解析、治療の検討を行います。基礎研究では、モデル動物を確立、解析することにより、肺炎をHost Defenseの観点から検討しています。他大学との共同研究も積極的に行っています。
臨臨床では幅広くびまん性肺疾患を扱っています。胸部画像検査および病理組織を臨床情報と統合して臨床研究を進めています。研究では、肺胞蛋白症についての臨床データおよび血清および気管支肺胞洗浄液中の蛋白やサイトカインのデータを集めて研究を進めています。新潟大学やCincinnati大学との共同研究も行っています。
当科の入院患者数の約半分が肺癌の患者さんです。分子標的薬を用いた治療も積極的に導入し、また、第Ⅱ相、Ⅲ相の臨床治験にも積極的に参加しています。多くの患者がいて、最先端の医療を提供する秘訣は患者を一人一人しっかりと診療することと考えています。研究面では、治療効果の検討・化学療法の副作用の検討と対策・早期肺癌の検出法の検討 と幅広く研究し、日常臨床へのフィードバックを目指しております。
閉塞性肺疾患には、主として気管支喘息と慢性閉塞性肺疾患chronic obstructive pulmonary disease (COPD)の患者さんが含まれ、それぞれ最新のガイドラインやエビデンスに基づいて診療を行っております。慢性呼吸不全診療では、新たに看護師と理学療法士と一緒に在宅酸素療法HOT外来を始め、教育入院を経て在宅酸素を導入した患者がスムーズに外来に移行できるよう試みております。
研究では、気道炎症の病態において上皮細胞を中心に据えて見つめる、非常にユニークな観点から、分子生物学的知見に基づくアプローチから疫学的介入まで幅広く試みています。東大、帝京大学など近隣諸大学、英国Imperial College & Royal Brompton Hospitalなどと共同研究も行っています。