Faculty of Medicine特徴的な脱毛パターンと年齢分布を呈する日本人のFibrosing alopecia in a patten distribution

木下美咲 (皮膚科学教室 講師)

研究のハイライト
  • 日本人のFibrosing alopecia in a pattern distribution (FAPD) の臨床的・病理的特徴を解析した結果、欧米報告例とは異なる脱毛パターンと年齢分布を呈することが判明した。
  • FAPD患者は瘢痕・炎症性変化と男性型脱毛徴候のいずれが優位となるかにより臨床的に2つのサブタイプに分類できた。
  • 本研究で示されたFAPDの人種的特性や病態の多様性に関する知見はFAPDを診断・治療する上での一助となるだろう。

概要

Fibrosing alopecia in a patten distribution (FAPD)は頭髪のミニチュア化と毛包の瘢痕性変化を特徴とする比較的珍しい毛髪疾患として2000年に初めて報告されて以降、徐々に注目されるようになりました。過去報告例は主に欧米からに限られ、アジア報告例は稀でした。筆者らは杏林大学病院皮膚科毛髪外来を受診する患者の中に少なからず本症の特徴を呈する患者が存在することに注目、近年提唱されたFAPDの診断基準に照らし合わせ、日本人のFAPD患者24症例を対象にその臨床的・組織学的特徴を解析しました。
その結果、欧米報告例では男女を問わず中年以降の患者が大半を占めるのに対し、日本人患者では男性で若年発症の頻度が優位に高いこと、頭髪のミニチュア化と瘢痕・炎症性変化の程度により臨床的に2つのサブタイプに分けることができ、その特徴の差は組織学的にも裏付けられることが判明しました。ミニチュア化を特徴とするサブタイプは一見、男性型脱毛症にきわめて類似することから、誤診され、適切な治療が行われていない例も存在すると推測されます。また日本人のFAPD患者の過半数は頭頂後頭部の同心円状の脱毛と前頭頭頂部正中の脱毛の合併により、”パラシュート型”と表現できる、欧米報告例とは異なる特異な脱毛分布パターン(図1)を呈することも明らかとなりました。
本研究は日本人のFAPD患者の特性を明らかにすることで、今まで見過ごされてきたFAPDを正しく診断し、患者個々の病態に基づいた適切な治療計画を考慮する上で役立つものと考えられます。本研究の発表により本症がより注目されることで、本邦からの報告が増え、新たな病態の解明につながるものと期待します。


概念図1
図1:日本人のFAPD患者の特徴的脱毛パターン
頭頂後頭部の同心円状の脱毛と前頭頭頂部正中の脱毛の合併により
“パラシュート型”の特異な脱毛パターンを呈する

掲載論文
発表雑誌:The Journal of Dermatology [Jan;49(1), pp.106 – 117 (2022) ]
論文タイトル:Distinctive age distribution and hair loss pattern putatively highlighting uniqueness of Japanese cases of fibrosing alopecia in a pattern distribution.
筆 者:Kinoshita-Ise M, Fukuyama M, Ohyama M
(木下 美咲, 福山 雅大, 大山 学)(皮膚科学教室)
DOI: 10.1111/1346-8138.16155

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