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循環器内科は、個々の患者に合わせた最良の医療を行うことを心がけています。心臓カテーテル班、不整脈班、肺高血圧班、心エコー班、心不全班による各専門分野での臨床に加え、臨床現場で生まれる疑問を育むことを大切にし、教育・研究を活発に行っています。
当科のポリシーは、「研究と臨床ともに秀でた医師を育成する」ことです。
BSL(Bed Side Learning)では、様々なカンファレンスに参加し学びます。緊急性の高い患者が多いため、毎朝新入院カンファレンスを行い、新入院患者の診療方針を全員で共有しています。火曜日は、各分野の指導医のもと症例カンファレンスを行い、最新のエビデンスに基づいた診断・治療を学びます。定期的に開催するMorbidity & Mortalityカンファレンスでは問題点・合併症の検討を行い、貴重な経験を共有するとともにより良い診療を追及します。
担当した症例でのベッドサイドの診断・治療を通して学ぶとともに、疾患について自身で疑問点を探し、文献を通して学び、修了時には指導医と実習班員の前で発表します。希望者は、興味を持ったテーマに関する臨床研究や症例報告を、指導医とともに行うこともできます。
米国心臓協会、米国心臓病学会、欧州心臓病学会、Heart Rhythm Society、日本循環器学会、日本心臓病学会、日本不整脈心電学会、日本心エコー学会、日本肺高血圧・肺循環学会、日本心不全学会、日本内科学会などで研究成果を発表しています。近隣の実地医家の先生方と定期的にテーマを決めた勉強会を行い、医療連携に取り組んでいます。
各班の研究内容(詳細につきましては、診療科ホームページでも紹介しております。)
虚血性心疾患、末梢血管疾患、心臓大血管の構造的疾患に対し、年間350-400例の経皮的冠動脈インターベンション、80-90例の血管内治療、約30例の経カテーテル的大動脈弁挿入術(TAVI)を行っています。
虚血性心疾患に対しては、血管内超音波をはじめOCTやNIRSといった血管内イメージング、FFR-CTを含めたCT診断を積極的に取り入れています。また近年その存在が注目されている冠微小循環障害の診断にも積極的に取り組み、検査実施施設にも登録されております。重症下肢虚血診療は、形成外科と連携し迅速な治療を行っております。また、弁膜症治療に関しては、2019年よりTAVIを、2023年からはMitraClipによる重症僧帽弁閉鎖不全の治療を開始し、より低侵襲な治療を行っております。
頻脈性不整脈に対しては、最新のマッピング機器・カテーテルを導入し、有効かつ安全性の高い治療を提供しています。他施設で治療困難であった難治性心室頻拍に対しても、心外膜アブレーションを含む様々な方法を駆使して治療にあたっています。
徐脈、致死性不整脈、心不全に対するデバイス治療では、周術期だけでなく、診療看護師、臨床工学士などのコメディカルとチームを組んで遠隔モニタリングを行い丁寧な診療、管理にあたっています。日本で初めてリードレスペースメーカーの治験を行い、本邦承認を経て治療を継続しています。生理的刺激伝導系ペーシングは国内の先駆けとして開始しています。
当院の肺高血圧症診療における患者数は国内上位3位施設に入り、関東甲信越から多くの患者さんが紹介されています。当院は、慢性肺血栓塞栓症に対するカテーテル治療(BPA:経皮的肺動脈形成術)の実施施設として認定されている数少ない施設の一つです。日本に6名しかいないBPA認定指導者のひとりが在籍し、世界に通用する術者の育成を目指しています。また、カテーテル検査中の運動負荷試験による、肺高血圧の早期診断や潜在性左室拡張障害の鑑別を行う取り組みは国内外から高く評価されています。
心エコーは、非侵襲的に疾患の病態把握、重症度評価、治療効果判定が可能な検査法です。Structure heart diseaseの治療前後の心機能評価、抗がん剤治療関連心筋障害や全身性アミロイドーシスなど二次性心筋症の心機能評価、3Dスペックルトラッキング法を用いた肺高血圧症の右心機能評価、運動負荷心エコーによる運動誘発性肺高血圧や左室拡張能障害・左房機能障害の評価などに関する研究を行っています。地域の若手医師・技師の育成や研究支援も進めています。
多施設共同心不全レジストリ (West Tokyo Heart Failure Registry)による研究成果を国際的な学術誌を通して世界に発信しています。国際間比較による本邦の診療実態、高齢者や併存疾患有する症例の薬剤適正使用の報告は学会シンポジウムで大きく取り上げられました。臨床現場に立ち続けている若手医師の現場感覚で生まれた解決不可能な疑問は重要です。研究デザインの立案・データ解析・学会発表/論文作成まで、施設を越えた心不全・臨床研究の専門家が支援します。
当科での大学院コースの目標は”研究のみならず臨床の研修を継続することで、臨床・研究双方に秀でた医師を育成すること”です。臨床現場で生まれる疑問 (clinical question)を育むためにも臨床の実践は重要と考え、臨床に携わりながら研究を進めます。
大学院1年目に各研究班に所属し、指導医によるメンタリング制度のもと研究テーマを決定します。研究の進捗を医局内カンファレンスで定期的に発表し、科全体としての支援を受けながら研究を進めていきます。臨床と研究の両立はハードですが、在籍中の大学院生は大学院修了後に、”臨床研究の実践による問題可決能力を有する臨床医”として自立することを目指して日々研鑽しております。この期間の努力は、その後の医師としてのキャリアに必ず役立つ4年間になると考えております。