部門概要
当部門は、医学部における放射性同位元素(RI)を用いた実験研究の場であり、医学部各教室・部門に所属の方々に共同利用されています。利用者は放射線業務従事者として登録され、被曝や放射線障害について管理されています。
放射線は物質を透過したり、物質にエネルギーを供与したりといった様々な性質を持っており、工学・医療・農学などの多くの分野で利用されています。また、医学や生命科学分野の研究でも放射線及びRIの利用は非常に有用です。しかし、放射線を過剰に被曝することは人体への障害を誘発する可能性があります。そのため、放射線やRIの利用は一定の防護を施した施設で限定的に行われることになっています。当部門には、原子力規制委員会の許可を受けた管理区域があり、医学部でのRIの使用はこの管理区域内でのみ認められています。
当部門は、管理区域等の施設や設備の維持管理、放射線業務従事者の被曝・健康管理を行い、法令の規則に則ったRIの安全利用ができる環境を利用者に提供することで、医学・生命科学研究の発展に貢献しています。
社会的活動
- 学協会員として、放射線安全利用活動及びその啓発に努めています。
- 福島原子力発電所・原子炉損壊の影響による環境中の放射線量、空間線量率への一般公衆の関心の高まりに対応するため、測定器の貸し出し等を行っています。
- 病態生理学教室の研究協力者として日本生理学会、日本神経科学学会、日本神経化学会等で研究業績を発表しています。
研究テーマ
医学部病態生理学教室との研究協力により、シナプス機能の制御に関与するsyntaxin1(HPC-1)の遺伝子改変マウスが示す様々な行動異常の分子機序や病態を探ることで精神神経疾患の原因究明につなげることを目的に研究を行っています。その研究成果は日本生理学会、日本神経科学学会、日本神経化学会、SfN等の学会やJournal of Neurochemistry等の科学雑誌で発表しています。
近年の主な業績
- Mishima T, Komano K, Tabaru M, Kofuji T, Saito A, Ugawa Y, Terao Y Repetitive pulsed-wave ultrasound stimulation suppresses neural activity by modulating ambient GABA levels via effects on astrocytes. Front Cell Neurosci 18, 2024. DOI: 10.3389/fncel.2024.1361242.
- Fujiwara T, Kofuji T, Akagawa K Disturbance of the reciprocal-interaction between the OXTergic and DAergic systems in the CNS causes atypical social behavior in syntaxin 1A knockout mice. Behav Brain Res 413:11347, 2021.
- Mishima T, Fujiwara T, Kofuji T, Saito A, Terao Y and Akagawa K Syntaxin 1B regulates synaptic GABA release and extracellular GABA concentration, and is associated with temperature-dependent seizures. J Neurochem 156:604-613, 2021.
- Kofuji T, Hayashi Y, Fujiwara T, Sanada M, Tamaru M and Akagawa K A part of patients with autism spectrum disorder has haploidy of HPC-1/syntaxin1A gene that possibly caused behavioral disturbance as in experimentally gene ablated mice. Neurosci letters 644:5-9, 2017.
- Kofuji T, Fujiwara T, Sanada M, Mishima T, Akagawa K HPC-1/syntaxin 1A and syntaxin 1B play distinct roles in neuronal survival. J Neurochem 130(4):514-525, 2014.